2000/07/05更新
今日のエッセイ
ゆりかもめ

都市博が取りやめとなり、宙に浮いてしまった埋め立て地は、
只の空き地から、東京の新しい観光スポットとなった感があるその埋め立て地には 、
陸続きではないために、舟で渡るか、橋を渡るしかない。

土地を贅沢に使ったビル群を、対岸に見る芝浦から、
レインボーブリッジを、首都高を使わずに一般道を昇っていく。
ループ状に回転しながらゆっくりと昇っていく。
すると、隣を同じようについてくる車輛。
車ではない、モノレールのような3両連結の新交通システム。
お客さんを大勢乗せて、しかし、運転手は居ない。

愛称「ゆりかもめ」。
車だとフェンスで見えない景色も、「ゆりかもめ」からなら見える。
しかも「ゆりかもめ」は、乗っている人全てが、景色を楽しめるのだ。
自動車では、ドライバーは景色を楽しむ余裕はない。
うっかり景色に見とれていようものなら、フェンスにぶつかるか、
他の車と接触する羽目になってしまう。
レインボーブリッジを渡りきり、埋め立て地についても、
「ゆりかもめ」はなを、高いところを飛び続ける。
乗客は、ずっとBIRD'S EYE VIEWを楽しめる。
お台場のおしゃれな通りも、公園でくつろぐ恋人達も、人気のレストランも、
鴎の目線で見下ろすと、みんなステキに見えるだろう。きっと。

百合鴎。
古に和歌に詠まれた都鳥。 その時、都鳥の目には何が見えていたのだろうか。
そして今、「ゆりかもめ」で、人が都鳥の視点を楽しんでいる。

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