2000/07/22更新
今日のエッセイ
REUGE MUSIC

オルゴールには、ノスタルジックな響きを感じる。
しかし、リュージュ社のオルゴールの音色を耳にすると、
今までのオルゴールのイメージが大きく変わる。
スイス一のオルゴールメーカーであるリュージュ社が作り出す音色は、
一つ一つ職人の手によって作り出された芸術品と言っていい。
クルミの木でできたケースに納められたムーブメントは、
時計のそれに近い精緻さと美しさを持ち、まさに芸術品の様である。
串歯が12枚のものからシリンダー交換ができるもの、
ディスク式でレコードのように曲が選べるものまで、数多く揃っている。

ゼンマイを巻く時の、キリキリキリという乾いた音。
巻き上げられたゼンマイに蓄えられた、その力を解放する
小さな竪琴のシンボルマークのスイッチを、操作する。
すると、3オクターブ、36枚の串歯から、美しい調べが流れてくる。
手作り故の、時にタイミングが微妙にずれた音も混じるが、それも暖かみに感じられる。

ゆっくりとそのシリンダーを回転させる小箱から、
流れてくる曲は「ます」、原題「The Trout」。
鱒の泳ぐせせらぎが見えてくるようだ。
妻が妊娠中、おなかの子どもに聞かせてやろうと、酔った勢いで買って帰った。
デパートなどで目にすることがあったら、聞かせて貰うと良いです。
疲れた心と耳に、良い保養になります。

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