2006/2/2

少子化対策

「出産費用が無料になる」
耳を疑うような、日本のニュースを聞きました。
世界どこでも少子化は進んでいますが、日本のこの対策は驚きです。

日本は出産、子育てに対して公の金銭面での援助が手厚いですよね。出産育児一時金、児童手当と小学校を卒業するまで補助が出る上に、今後は3歳までの幼児には育児手当もつけて、更に小学校に上がるまで医療費も無料にする、などとこちらでは夢のような話です。

アメリカでは、出産費用は保険によって無料から百万単位まで負担がありますし、出産や育児に関しての政府からの金銭面の援助や、WIC (Women, Infants & Children)という、農務省が食品栄養面で妊婦と子供を援助するシステムも、低所得家庭に限られています。基準に当てはまらなければ、政府からはなんの援助もありません。

ただし、環境、法律面の整備はアメリカの方が優れているように思います。
日本が少子化対策に上げている、夫が育児休暇を取ったり、妻が出産後に職場に戻りやすくする環境作りは、アメリカでは法律です。立派な権利として行使できます。例えば、私がボランティアをしていた中学校での話。ある男性教師の妻が出産し、彼は12週間分の無給休暇(法律で決められている日数)を、妻の仕事の都合と合わせて週に一度取得しているのだそうです。夫と妻で休みをやりくりし、生まれたばかりの子供を家族だけで最長期間、世話できるのは嬉しいですよね。誰もがこの権利を知っているのも、休暇をとり易い理由のひとつでしょう。

移民や養子が文化として定着しているアメリカでは、少子化は今のところ切羽詰まった問題として取り上げられていないように思います。

どこの国であっても、「お金を出すから産んでください」ではなくて、様々な角度から「もう一度子育てを楽しんでみたい」と人々に思わせる環境を作ることのほうが大切なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

それにもうひとつ。出産費用を全額免除するなら、子供が欲しくて苦労している不妊の母親予備軍にも治療費の免除、せめて保険適用ができるようにして欲しいものです。


アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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