2003/6/26

手抜きしたい日もある

アメリカに来て、最初に義母から勧められて買ったものは料理の本でした。
食は文化という言葉の通り、新しい土地に馴染むには、まず食を知るのが一番ですし、なにより、あまり料理などしそうにないと見抜かれていたのでしょうか。その本を開けてびっくりしました。どの料理もカップとスプーンで、分量が表示されています。日本でパンの教室に通ったときは、講師から口うるさいほど、計量が大切だと教わり、小麦粉や砂糖をグラム単位で計っていたのに。そんなことをしなくても、ガバッとカップ量りで、シュークリームもパンもちゃあんとおいしくできたのです。アメリカの料理に秤は不要。これは大雑把なわたしにとって、うれしい発見でした。そしてインターネットや雑誌で見つける日本のレシピがグラム表示になっていても、カップとグラムの換算表を使えば、らくらく懐かしい味にたどりつけます。

料理の基本「計量」からわかるように、こちらの人たちは細かいことを気にせず、料理は手も時間もかけずに済ませるのが得意のようです。
日本のように、材料を美しく切りそろえ、コンロをフル活動させて料理をすることはまず考えられません。大きな耐熱皿にポンポンと材料を入れて、オーブンに放り込むキャセロールは典型的な簡単料理ですし、じっくり暖めるようにして丸一日かけて料理を作る、スロークッカーを使う人も多いものです。これは、朝一番に材料と調味料を放り込んでおけば、夕方にはクッカーごと食卓に載せられます。夏場のバーベキューも手軽な料理のひとつでしょう。

さらに、お手軽(手抜き)料理の強い味方になる数々のインスタント食品、スープやパスタ、冷凍食品は数えることもできないほど、種類も価格も豊富です。きれいに切って洗ってドレッシングと一緒にビニール袋に入っているサラダも様々な種類がありますし、日本で言えばお惣菜コーナー「デリ」には、立派に食卓が潤う品数が揃っています。

何かと家事に手を抜く機会を狙っている私は、日本式に気を張って料理を作る日が続くと、「今日は許して」と言いながらついつい、パントリーにインスタントパスタやスープを探してしまいます。


アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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