2001/11/1

母は強い。

この言葉を実感したのは、息子を産んだ2年前。
出産の翌日、私は長時間の陣痛と出産でへなへなになっており、歩くのもままならずに車椅子のお世話になっていた。息子は出産時の私からの感染症の影響を心配して新生児集中治療室に。主人と共に息子に会いに行くその途中、私達の横をパジャマ姿の別の母親が、赤ん坊を乗せたワゴンを押しながら歩いていた。
「泣くから、こうやって病棟を歩いてるのよ」
「あらあら、大変。かわいいわねえ、いつ産まれたの?」
「きのう」「(へっ?!)あ、そうなの、、、」
車椅子を押してもらっている私が何だか情けなく思えたのは言うまでもない。

その午後空いていた隣のベッドに、帝王切開をした人が移ってきた。彼女は術後の数時間は静かに横になっていたが、夕方にはベッドの上に座って「ゴールデン ミルク(初乳)をあげなきゃね」などと言いながら新生児におっぱいを飲ませていた。そして、翌朝にはすたすたと病棟を歩いていた。

こんなエピソードを退院後、米国人の義母に話したところ、彼女は豪快に笑いながら「強くないとやっていけないのよ。開拓者精神のようなものね、ほら、その頃はいつまでも寝てるわけにはいかなかったでしょ。そのために体力もあるのよお。ここは出産後もすぐ仕事に戻る人が多いし。あなたはとっても小さいからね、頑張りやさんだけど」。
確かに私から見るとみんなとってもがっしりしていて大きい。しかも、日本のように出産後実家に戻って1ヵ月、ゆっくり体調を戻す準備をする慣習はない。米国人の友人は美容師をしていて、出産後2週間で職場に戻ったが、さすがにいつまでも身体の調子が戻らず、もうちょっと休むべきだったと後悔していた。働く母親の多くは1ヵ月ほどで職場復帰をするという話をその友人から聞いた。私は身体がだるい、眠たいなどと理由を作って、3ヵ月は家事も十分にしなかったのに。とても真似できない。

ちなみに米国で妊婦が出産直後に歩き、通常生活に慣れる準備をする理由のひとつに健康保険の問題がある。大半の保険は特別な理由がない限り、普通分娩なら48時間、帝王切開でも96時間しか面倒をみてくれない。医療費が高額な米国では嫌がおうでも「とっとと退院するしかない」のが現状である。

米国の母は特別に強い。

「とっても小さな私」は、1週間ほど主人の実家にお世話になり、まるで自分の実家に戻ったかのように、授乳と食事と寝起きを繰り返し休養させてもらった。そして自宅に戻ってからも昼夜の授乳を理由にかなりのんびりした生活を送った。
" Lucky me! "


アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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