合計特殊出生率1.93(2016年)を誇り、「2週間で男を父親にする国」と呼ばれてきたフランス。私たちは2017年にパリを取材し、パパの産休や保育制度の手厚さを紹介しました。あれから約8年。2025年春にもフランスを追加取材しましたが、2025年の合計特殊出生率は1.56にまで低下。最新のフランスの子育て支援制度は、深刻化する少子化に対応するために改正され、パパの育児参加をさらに後押しする方向へ動いています。

入院中の3日間、そして「男の産休」はさらに手厚く

フランスでは出産後、パパに3日間の「出産有給休暇」が与えられます。1946年に制定されたこの休暇は、出産入院(通常3泊4日程度)にパパが付き添い、助産師から抱っこの仕方やおむつ替え、沐浴、ミルクの作り方などを夫婦で学ぶ時間にあてられます。産後で思うように動けないママに代わって、パパが赤ちゃんの世話をする——これがフランス流「パパ育児」の出発点です。

 

この3日間に続き、以前は11日間の「子どもの受け入れ及び父親休暇」があり、合わせて2週間が「男の産休」と呼ばれてきました。2002年の導入以来、社会にすぐ浸透し、大きな反対もなく定着した制度です。

ところが2021年7月、この制度は大幅に拡充されました。父親(またはママのパートナー)の休暇日数は14日から28日へと倍増し、そのうち7日間(出産休暇3日+父親休暇4日)が義務化されました。多胎児の場合はさらに日数が加算されます。それまで「取りたくても職場に言い出しにくい」立場にあった非正規雇用の父親でも取得しやすくするための措置で、マクロン大統領自身が「子どもの人生最初の1000日が発達に決定的な影響を持つ」という研究知見を根拠に発表しました。休暇中は給与の一定割合(目安として従来同様の水準)が社会保障から補償されます。

 

さらに2026年7月からは、「補足的出産休暇(congé supplémentaire de naissance)」という全く新しい制度が始まりました。これは両親それぞれに1〜2ヶ月分、既存の産休・父親休暇・養子縁組休暇に上乗せして与えられる休暇です。両親が同時に取得することも、交代で取得することも可能で、1ヶ月ずつ2回に分けて取ることもできます。給与補償は最初の1ヶ月が70%、2ヶ月目が60%。もともとは「育児休業(congé parental)を全面的に置き換える」という少子化対策の目玉として2024年に発表された構想でしたが、最終的には既存の休暇制度に「追加」される形で実現しました。つまり2018年当時「2週間」だったパパの休みは、法制度上、最大で3ヶ月超に届くところまで拡張されたことになります。

 

産後ケアの手厚さは変わらず

出産後12日以内に助産師の自宅訪問診察が受けられる制度(医療保険で100%カバー)や、産後90日以降に無料で10回受けられる骨盤底筋・腹筋のリハビリ治療は、現在も変わらず続いています。尿漏れや将来の内臓下垂を防ぐための予防医療として位置づけられ、理学療法士の指導のもとで行われる点も同様です。妊娠中の「親になるための講座」や、パパも一緒に参加する親学級の文化も引き続き根付いています。

 

【図表】パパ向け休暇制度の変遷(2018年 ― 2026年現在)

制度区分 2018年当時の制度内容 2026年現在の制度内容
出産有給休暇 3日間(父親に与えられる基本的な出産有給休暇) 3日間(変更なし。出産付き添いとパパ育児の出発点)
男の産休(父親休暇) 11日間

(合計14日間の休暇制度、社会保障より給与補償)

25日間へ倍増

(合計28日間、うち7日間は取得義務化)

補足的出産休暇 なし

(既存の休暇のみ、育児休業制度が中心)

新規上乗せ

(両親それぞれに1〜2ヶ月分、最大3ヶ月超へ拡張)