「お兄ちゃん・お姉ちゃん」の前に一人の子どもとして甘えさせる

下の子が生まれると、上の子は急に頼もしく見えるものです。しかし、年齢的にはまだ数年しか生きていない小さな子どもであることを忘れてはいけません。例えば、自分でできるはずの着替えを「やって」と言い出したり、赤ちゃんみたいに泣き叫んだりする「赤ちゃん返り」は、親の愛情が下の子に奪われていないかを確認するための大切なサインです。

 

ここで「もうお兄ちゃんでしょ」「お姉ちゃんだから我慢して」という言葉を使ってしまうと、子どもは「ありのままの自分では愛してもらえない」と強いプレッシャーを感じてしまいます。わがままを言ってきたときは、頭ごなしに叱るのではなく、「甘えたいんだね」とまずはその気持ちを丸ごと受け止めましょう。一見遠回りに見えますが、十分に甘えさせることで心が満たされ、お兄ちゃん・お姉ちゃんとしての自立心が芽生えていきます。

ただしこれは上の子の気持ちに余裕があるときということを押さえておきましょう。

 

毎日10分でも「上の子ファースト」の特別時間を作る

子どもが一番満たされるのは、親の視線と関心を独り占めできている時間です。下の子のお世話で忙しい毎日だからこそ、意識して「上の子ファースト」の時間を作りましょう。下の子が昼寝をしている間や、パートナーが下の子を見ているときなど、毎日5分とか10分だけでも構いません。その時間はスマートフォンを置き、上の子がやりたい遊びに全力で付き合いましょう。

量より質を意識して、2人きりでべったりと過ごしたり、ぎゅっと抱きしめて「大好きだよ」「あなたがいてくれて嬉しい」と言葉で伝えてみましょう。この短い「特別時間」があるだけで、上の子の心のコップは愛情で満たされます。親の愛情を確信できれば、下の子への嫉妬心や、気を引くための理不尽なわがままは徐々に減っていくでしょう。

 

下の子への「お手伝い」は強制せず、できたことを褒める

上の子にお世話を手伝ってもらうことは、きょうだいの絆を深める良いきっかけになりますが、決して義務にしてはいけません。「オムツ持ってきて!」と命令するのではなく、「オムツ持ってきてくれたら、ママ(パパ)すっごく助かるな」と、お願いの形で巻き込んでみましょう。もし乗ってくれたら、「助かったよ、ありがとう!」と褒めることがポイントです。

下の子の前で上の子を褒めることで、上の子は「自分は役に立つ大切な存在だ」と自信を持てるようになります。これは自己有用感と言います。

 

もし気分が乗らない様子であれば無理強いはせず、「見ていてくれるだけで嬉しいよ」と声をかけて引き下がりましょう。手伝う・手伝わないに関わらず、自分の存在そのものを肯定されていると感じられる関わり方が、上の子の心の安定につながります。

 

完ぺきを目指さず、それぞれの「今」を愛する

きょうだい育てで一番大切なのは、親が一人で抱え込み、平等に愛せない自分を責めないことです。上の子には「一人の人間として尊重する言葉」を、下の子には「今必要な手厚いお世話」を届ける。それこそが、それぞれの年齢に応じた最高の愛情表現です。

時にぶつかり合いながらも、子どもたちはきょうだいという関係の中で、社会性や思いやりの心を育んでいきます。肩の力を抜いて、毎日の成長を見守っていきましょう。