個性の正体は生まれ持った「心のクセ」

子どもの個性や行動パターンのベースには、生まれ持った「気質(きしつ)」があります。気質とは、育て方や環境によって作られるものではなく、赤ちゃんが生まれたときから備わっている「刺激に対する反応のクセ」のようなものです。
例えば、乳幼児期の子どもたちは、以下のようなタイプに分かれることがあります。

* 慎重派: 初めての場所や人が苦手で、慣れるまでに時間がかかる。
* 活発派: 好奇心が旺盛で、じっとしているのが苦手。
* こだわり派: 物の配置や順番、自分のやり方に強いこだわりを持つ。

これらはどれが良い、悪いということはありません。人見知りが激しい子は「周囲をよく観察できる慎重さ」を持っています。落ち着きがないように見える子は「豊かな好奇心と行動力」を持っています。「この行動は、この子が生まれ持った心のクセなんだな」と客観的に捉えることからスタートしてみましょう。親の育て方のせいでも、子どものわがままでもありません。

 

日常のイライラを笑顔に変える!具体的な場面での関わり方

そうは言っても、日々の生活の中では親の忍耐が試される場面ばかりでしょう。乳幼児期によくある2つの具体的な場面から、個性を尊重した関わり方のコツを考えてみます。

【場面A】公園でお友達の輪に入れない(慎重派タイプ)
公園に行っても、お友達の輪に入らず、ずっとママやパパの服の裾を掴んで離れない。そんなとき、「ほら、お友だちが遊ぼうって言ってるよ!行きなさい」と背中を無理に押すのは逆効果です。

関わりのヒント: このタイプの子どもにとって、初めての空間や大人数の輪は「安全かどうか分からない場所」です。まずは親の膝の上など、絶対に安全な場所から「観察する時間」を十分に作りましょう。「みんな楽しそうだね」「あのおもちゃ、面白そうだね」と言葉をかけながら、子どもの心が「行ってみようかな」と動き出すのを待ちます。慣れるまでに時間がかかることもありますが、その子のペースを否定せず「慎重に見極めているんだ」と受け止めることで、子どもは安心感を育んでいきます。

【場面B】お着替えを嫌がって大騒ぎ(こだわり派タイプ)
「この服じゃなきゃイヤ!」「自分でボタンを留める!」と言い張り、出発の時間になっても一向に準備が進まない。

関わりのヒント: 「早くしなさい!」と無理やり着せようとすると、バトルは激化します。こだわりが強い子は、「自分で決めたい」「自分の世界をコントロールしたい」という自立心の現れでもあります。
あらかじめ「赤のTシャツと青のTシャツ、どっちにする?」と、親が許容できる2つの選択肢から選ばせる方法も有効です。自分で選んだという実感が満足感に繋がります。また、「自分でしたい」というこだわりに対しては、時間に余裕があるときは「1番上のボタンだけ一緒にやろうか」と、部分的に本人のこだわりを満たす関わりが、親子の衝突を減らす鍵にもなります。

「長所」と「短所」は裏返し、言葉の掛け算で自己肯定感を育む

子どもの個性をどう考えるか、その最大のコツは、親の「見方のフィルター」を変えることです。人間の特徴において、長所と短所は常に表裏一体、同じコインの裏表です。
親が「この子のここが困る」と思っている短所は、見方を変えれば素晴らしい長所にとなります。これはリフレーミングと言います。

* 「頑固で言うことを聞かない」 ⇒ 「自分の意志をしっかり持っている、ブレない」
* 「飽きっぽくて集中力がない」 ⇒ 「切り替えが早い、たくさんのことに興味が持てる」
* 「気が小さくて泣き虫」 ⇒ 「感受性が豊か、人の気持ちに共感できる」

日々の声かけも、この「裏返し」を意識してみましょう。「どうしていつもそうなの!」と言いたくなったら、一呼吸置いて「自分のやりたいことがハッキリしているね。でも今は、○○の時間だよ」と、まずはその子の個性を肯定した上で、ルールを伝えましょう。

乳幼児期の親の関わりは、子どもが「自分は自分のままで愛されているんだ」という安心感の土台(安全基地)を作ることです。その安心感さえあれば、子どもは自分の個性を武器にして、これから先の広い世界へ自ら歩み進めていくことができます。ほかの子と比べる必要はありません。
「この子はどんな風に成長していくのかな」と、目の前の小さな成長、わが子のペースを楽しんでいきましょう。