これってしつけ?虐待?~言葉や行動で子どもを育もう!

泣きやイヤイヤ期、目が離せない離乳食など、乳幼児期の子育ては息つく暇もありませんよね。一生懸命に向き合っているからこそ、「どうして言うことを聞いてくれないの!」と、ついイライラして声を荒らげてしまったり、手をあげたくなることがあるかもしれません。 「今のって、やりすぎだったかな……」「もしかして虐待になってしまうの?」と一人で落ち込み、悩んでいませんか。 実は、多くの親御さんが同じような不安を抱えています。「しつけ」と「虐待」の境界線はどこにあるのでしょうか。子どもを健やかに育むために、私たちはどのような言葉や行動を選んでいけばよいのでしょうか。今回は、法律の視点も交えながら、イライラを笑顔に変える子育てのコツを一緒に考えていきましょう。
「どうして言うことを聞いてくれないの!」と思わず声を荒らげてしまい、後から一人で「今のってやりすぎだったかな……」と落ち込む。子育てに一生懸命に向き合うからこそ、自分の関わり方に不安を抱く親御さんは少なくありません。
この記事でわかること
- しつけと虐待の決定的な違いと「2020年4月施行の体罰禁止のルール」
- 子どもの自己肯定感を奪ってしまう「存在否定や比較などの言葉の暴力」
- 感情的にならずに子どもへ伝える「対話によるしつけの4ステップ」
- 限界を感じた瞬間に体罰へ走らないための「6秒の余白とイライラ対処法」
「しつけ」と「体罰」は何が違う?2020年からの新しいルール
「愛の鞭(むち)」という言葉が昔はありましたが2016年に「愛の鞭ゼロ作戦」というリーフレットが厚生労働省で作成されています。その後2020年(令和2年)4月、児童福祉法などの改正により、親による子どもへの「体罰の禁止」が法律で明確に規定されました。
現代の子育てにおいて体罰は決して許されるものではありません。
ここで大切になるのが、「しつけ」と「体罰」の違いを正しく理解することです。
厚生労働省(現・こども家庭庁)のガイドラインによると、しつけとは「子どもの人格や才能を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすることを目的として、子どものサポートをする行為」とされています。つまり、子どもの成長を助けるためのポジティブな関わり合いです。
一方で体罰とは、「子どもの身体に何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為(罰)」を指します。2020年の法改正時にはガイドラインも作成されて、「体罰等」として暴言も含むとされました。
「コツンと頭を叩く」「お尻をペンと叩く」といった行為は、法律が禁止する「体罰」に該当します。「軽く叩いだだけ」と言っても、叩く強さは親(大人)の主観でしかありませんから、軽いものも含むと考えます。
身体を叩かなくても「長時間正座をさせる」「夕飯を与えない」「家から閉め出す」といった行為も、子どもに肉体的・精神的な苦痛を与えるため、体罰や虐待とみなされます。
「叩かないと分からないから」というのは大人の勝手な考え方です。威圧でコントロールしても、大人のいいなりに動くだけなので、子どもが自分で考えて行動する自立(自律)にはつながりません。
科学的な研究でも、体罰や強い言葉によるストレスは、子どもの脳の発達に悪影響を与え、反抗心や攻撃性を強めてしまうことが分かっています。まずは「どんな理由があっても、叩いたり、心身に苦痛を与える行為はNG」というルールを心に留めておきましょう。

子どもの心を傷つける「言葉の暴力」と自己肯定感
虐待と聞くと、身体を傷つけること(身体的虐待)をイメージしがちですが、実は「言葉の暴力」による心理的虐待も、子どもの心を深く傷つけます。
乳幼児期は、親からの言葉をスポンジのように吸収し、自分の基礎を作っていくとても大切な時期です。親からかけられる言葉によって、子どもは「自分は愛されている」「大切な存在なんだ」という「自己肯定感」を育んでいきます。
しかし、毎日の忙しさやイライラから、以下のような言葉を投げかけてしまってはいませんか?
* 存在の否定:「あんたなんて産まなきゃよかった」
* 人格の否定:「どうしていつもダメなの」「本当にダメな子ね」
* 他者との比較:「○○ちゃんはできるのに、どうしてあなたはできないの」
* 脅し:「言うことを聞かないなら、お巡りさんに捕まえてもらうよ」
大人にとっては「つい口から出てしまった一言」かもしれません。しかし、大好きな親からこれらの言葉を言われ続けた子どもは、「自分はダメな人間なんだ」「ここにいてはいけないんだ」と自信を失い、恐怖心や不安を常に抱えるようになってしまいます。

対話によるしつけは、以下のような4つのステップでやってみましょう。感情をぶつけないのがコツです。
1子どもの気持ちを受け止めて気持ちを言葉にする(言語化)
泣いたり、イヤだという背景には子ども自身の気持ちがあります。
2相手の気持ちや状況を伝える
「お友だちはこのおもちゃで遊びたいんだね」など、相手の気持ちや状況を伝えます。
3どうしたらいいか考える、親や大人がヒントやアドバイスを与える
「どうしたらいいかな」と子どもに問いかけたり、「こんな方法はどうかな?」と提案してみましょう。
4子どもが自分で決めて動く(自己決定)
「じゃあ○○してみる」と子どもが自分で決めて動く、自己決定できることが大切です。
毎回このようにうまくいかなくても、心がけることで子どもの気持ちの言語化、子どもが自分で考え対話すること、自己決定できることにつながります。
イライラをいなして、怒りの大元の原因を考えてみる
そうは言っても、親も一人の人間です。感情をコントロールできなくなる瞬間はあるでしょう。特にイヤイヤ期の子どもを前にすると、理屈では分かっていても、爆発しそうになるのが自然な感情です。
そこで、イライラした瞬間に体罰や暴言へ走らないための、具体的なステップをご紹介します。

① まずは「その場を離れて深呼吸」
「手が出そう」「怒鳴りそう」と感じたら、まずは子どもが安全であることを確認した上で、数歩後ろに下がったり、別の部屋に移動したりして、子どもと物理的な距離を置きましょう。そして、ゆっくりと深呼吸をします。大人の脳が冷静さを取り戻すには、およそ6秒かかると言われています。この「6秒の余白」を作るだけで、衝動的な行動をグッと抑えることができます。
② 自分のイライラの原因を考える
怒っている人は困っている人。怒りは2次感情と言われています。
子どもに対する怒りの1つ手前の原因を考えて対処してみましょう。
子どもの成長・発達が心配:「なぜできないのか」という心配がイライラに変わることがあります。保育士や専門職などに相談してみましょう。
パートナーへのイライラ:「私ばっかりこんなに頑張っている」という気持ちが怒りに変わっていることがあります。「朝の時間にイライラしちゃうから、子どもの着替えを手伝って欲しい」など、具体的に相談しましょう。
疲れている・睡眠不足:パートナーやファミリーサポート、一時預かり、家事支援なども利用して、時間の余白を作りましょう。
「これってしつけかな?」と不安になったり、悩んでいること自体が、あなたがわが子と真剣に向き合い、大切に育てようとしている証拠です。一人で抱え込まず、肩の力を抜いて、社会みんなで子どもを育んでいきましょう。
よくある質問(FAQ)
Qついカッとなって叩いてしまった時はどう対処すべき?
A叩いてしまった時は、まず素直に「叩いてごめんね」と謝りましょう。そして、なぜ親が怒ったのか理由を静かに伝え、子どもの気持ちを聞く姿勢を持つことが大切です。完璧な親はいません。失敗した時に誠意を持って挽回し、対話をやり直す姿を見せることも、子どもにとって大切な学びとなります。
Q叩かずに言い聞かせても聞いてくれない時のコツは?
A子どもが言うことを聞かない背景には、子どもの譲れない気持ちや遊びへの集中があります。いきなり指示するのではなく「もっと遊びたかったんだね」と気持ちを受け止め、視線を合わせて具体的に提案しましょう。1回で伝わらなくても、怒鳴らず根気強くステップを踏むことで、子どもは徐々に自分で行動を選べるようになります。
Q怒りが収まらず手を上げてしまいそうな限界の時は?
A手が出そうになったら、子どもの安全を確保した上で物理的に距離を置きましょう。別室に移動して深呼吸をしたり、冷たい水で顔を洗ったりして「6秒の余白」を作ります。また、自分が限界だと感じたらパートナーや児童相談所相談専用ダイヤル(189)などの専門機関へためらわずに相談し、SOSを出すことが重要です。
まとめ
「しつけ」とは恐怖で縛ることではなく、子どもが社会で自律できるよう温かくサポートする行為です。2020年の法改正により体罰や暴言は法律で禁止されていますが、悩むこと自体が我が子と真剣に向き合っている証拠です。感情的になりそうな時は6秒の余白を作り、対話の4ステップを意識しながら、地域や専門家と協力して笑顔で子育てを進めていきましょう。