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“いつもガミガミ”から開放! 怒りをコントロールするアンガーマネジメント

“いつもガミガミ”から開放!

怒りをコントロールするアンガーマネジメント

子どもに対して、夫に対して、イライラしたり、ついカッとなったり……。そもそも怒りとは、どんな感情なのでしょうか?怒りをコントロールする方法はあるのでしょうか?日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実先生に伺いました。

戸田久実先生
日本アンガーマネジメント協会理事、アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役。アンガーマネジメントをはじめ、伝わるコミュニケーションをテーマに講演・研修を多数行う。著書に『「つい怒ってしまう」がなくなる子育てのアンガーマネジメント』(青春出版社)がある。

何度注意しても言うことを聞かない、食事の時に行儀が悪い、支度をせずにぐずぐずしている……。日々の育児のなかで、子どもに対して怒りの感情を抱き、「何で言う事が聞けないの!?」「ちゃんと食べなさい!」「早くしなさい!」などとどなってしまうこと、ありますよね。

 

子どもに対してだけでなく、夫に対しても、「家事をするのはいつも私だけ!どれだけ私が大変かわからないでしょ!」「自分が脱いだ靴下くらい、洗濯かごに入れてよ!」など、感情的に責めてしまうことも。そのたびに、「また怒っちゃった」「すぐにイライラしてしまう私って、最低」などと後悔したり、自分を責めて落ち込んだりするママも少なくないようです。

怒りの感情は「嬉しい」「楽しい」と同じで、私たち人間にとって自然な感情。抱いてはいけない、悪い感情ではないのです。ただし怒りの感情はエネルギーが強いので、「感情を爆発させやすい」という特徴があります。そして子どもや夫、実母など、身近な家族に対してより強くなる傾向もあります。
 
怒りは「第二次感情」とも言われます。自分の体調が悪くて「つらい」、夫が家事を手伝ってくれなくて「悲しい」などといった根本にあるのが「第一次感情」。これらの第一次感情に目を向けず、「もうイヤ!」「いいかげんにしてよ!」など、カッとなって感情をはき出すのが「怒り」です。「この怒りの元は何か?」と意識することが大切です。第一次感情が、本当に相手に伝えたいことなのです。

 

怒りを感じてから6秒。やり過ごすことが大切

これらの怒りの感情と向き合う方法が、「アンガーマネジメント」。アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された「怒りとうまく向き合うための心理トレーニング」です。ただし、「アンガーマネジメント=怒らないこと」ではありません。「怒る必要のあることには適切に怒る。でも、怒る必要のないことは怒らない」ことで、怒り過ぎへの後悔、怒らなかったことへの後悔を減らしていくことを目指すものです。
 
アンガーマネジメントの理論によると、どなりちらしてしまう、きつい言葉を発してしまうなどといった怒りの“衝動”は、怒りを感じてから6秒以内に起こると言われています。どんなに強い怒りでも、ピークは6秒。つまり、カッとしてから6秒やり過ごすことができれば、より冷静に怒りと向き合うことができ、感情的にならずにすむと考えられています。

6秒をやり過ごす方法としてあげられるのは、①怒りに点数をつけてみる ②その場から離れる③数を数えてみる ④深呼吸をする ⑤心が落ち着くフレーズを唱える 以上の5つです。これらの中から自分ができそうなものを選び、まずは1週間を目標に取り組んで怒りと向き合ってみましょう。
 
これに加えて「以前よりも怒りにくい自分」に“体質改善”する方法は、 ①怒りを記録する ②「○○べき」を洗い出す ③「良かった」と感じることを書き出す、の3つです。自分なりの方法で、できることから始めてみましょう。

 

カッとしてから6秒やり過ごす方法5つ

 

怒りに点数をつけてみる
イラっとした時、心の中で、その怒りに点数をつけてみましょう。10点満点として、「子どもがひじをついて食べている時、6点」「夫が朝のゴミ捨てを忘れた時、5点」……という具合です。“点数をつける”ことに意識が向くため、感情を爆発させずにすみます。

 

その場から離れる
トイレに行く、別室に行くなど、その場を離れることで、高ぶった感情をいったんリセットできます。その際は、「ちょっとトイレに行ってくる」「○○の部屋にいるね」など、必ず声をかけましょう。離れたあと、深呼吸したり、お茶を飲んだりなどリラックスを。

 

心が落ち着くフレーズを唱える
「まあ、いいか」「大丈夫」など、怒りを感じた時すぐに唱えることができるフレーズをあらかじめ考えておき、その時がきたら、そのフレーズを心の中で唱えましょう。フレーズは、かわいがっているペットの名前や好きな芸能人など何でもOKです。

数を数えてみる
ムカっとした時、頭の中で数を数えてみましょう。「1、2、3… 」と急いでカウントするのではなく、100から4ずつ引き算し、「100、96、92、88…」など、少し頭を使って数を数えることで、怒りにまかせた行動をしにくくなります。

 

深呼吸をする
激しく怒ると、自律神経のバランスが乱れるといわれています。カーッと血がのぼったら、鼻から息を吸い、口から息をはく深呼吸を2、3回繰り返しましょう。呼吸に集中することで、怒りの感情がおさまりやすくなります。

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ

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