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しつけること、叱ること

しつけるために叩いたり、ひどい言葉をかけてしまっていませんか

しつけること、叱ること

人に迷惑をかけない人に、他人を思いやれる人になって欲しい……。
親の子どもへの願いとして、上位にくる項目です。そのような子に育てるために「しつけ」や「叱る」ことをどのように考えるべきなのでしょう。
お母さんの悩みに寄り添っている荻野美佐子先生にお話を伺いました。

荻野美佐子先生
上智大学総合人間科学部心理学科教授。乳幼児期の認知・言語発達、言語獲得における環境からのインプットの役割、コミュニケーション発達にかかわる関係性の形成などに関する研究を行う。共著に『子どもに学ぶ発達心理学』(樹村房)ほか。

しつけは、親としてのメッセージ

イメージ

 

そもそも“しつけ”とはどういうことなのでしょうか? しつけは、子どもが悪いことや悪い考え方をしないように、親としてのメッセージを伝えること。大人の考えに合わせるように、子どもをコントロールすることと間違ってはいけません。
 
“しつけ”のつもりでも、「怒鳴ったり、感情的な言葉を投げつける」のと、「何がいけないのかを考えさせる」のは違います。
 
大人の考え方が常に正しいとは限りません。子どもより長く生きている分、知識が多い、いろいろな考え方ができる、人の気持ちを思いやれる……。しつけとは、そんな想いを子どもに伝えていくことだと思います。

“悪い”の解釈は、時と場合で異なる

子どもが悪いことをしたら親は叱りますが、“悪いこと”とは、どういうことでしょう?“悪いこと”と改めて考えると、誰にどの程度悪いのかは、状況や相手によっても、変わってくること。回復できないほど人の体や心を傷つけることは、もちろん誰でもしてはいけないことです。これは、状況が変わっても、違う国であってもいけないことです。
 
“しつけ”には、道徳的ルールと、慣習的ルールがあります。道徳的ルールは、誰でも、どういう場合でもよくないこと。慣習的ルールは、みんなが気持ちよく過ごすために、こうした方がいいという、いわゆるマナーです。

 

 

たとえば、「廊下を走ってはいけません」というのは、慣習的ルール。みんなが気持ちよく歩けるためのルールですから、状況によって破られる場合もあります。たとえば急病で人が倒れ、一刻も早くそれを知らせるためだったら、廊下も走るべきでしょう。
 
慣習的ルールが、道徳的ルールよりも優先されるのは、おかしな話です。たとえば、「学校のルールを守らないから、殴る」のは、本末転倒。ルールを守るように伝えればいいことで、殴るのはいけないことですね。親自身も混同している場合があり、それが子どもたちにも混乱を招いているのではと思います。

わが家のルールは最低限に

「ご飯の前に風呂に入る」「食事の時にはテレビを消す」などのわが家での決まりは私的ルールです。「約束だから守ろう」「わが家では、こうして欲しい」ということは、子どもにメッセージとして伝え続けましょう。
 
ただ、私的ルールをたくさん作ると、子どもは理解しきれず、なかなか守ることができません。

 

子どもが守らないからと言って、ひとつひとつにイライラしては、お母さんも大変。子どもが守らない→そのたびにお母さんが叱る→ 叱られてきげんが悪くなり子どもがぐずる……と、親子関係がぎくしゃくすることにもなりかねません。“ここだけは譲れない”ことのルールは最低限にしましょう。

子どものケンカを見守る余裕も

子どもが小さい頃は、コミュニケーション力も未熟ですから、相手にうまく伝えられず、手が出てしまうことがあります。でも、これを大人と同レベルに、暴力と考えるのはおかしなこと。危険な場合には、親が制止する必要がありますが、年齢が小さいうちは力も弱いので、相手に決定的なダメージを与えることはほとんどないでしょう。
 
おもちゃを取り合ったり、子ども同士、叩いたり、つねったり、噛んだりもすることで、相手との関わりやコミュニケーションを学び、経験している時期です。トラブルを避けてまったく関わらせないのでは、子ども自身、友だちとの関係性を学ぶことができません。危険は制止しつつ、多少のケンカは親自身、少し見守る余裕を持ちましょう。

 

小さい子は基本的に自分のことしか考えられず、気持ちのままに行動します。友だちが遊んでいるおもちゃが楽しそうで、ひったくってしまったら、「お友だち、おもちゃで遊びたかったのに、取っちゃったから泣いてるね」と、相手に注意を向けさせましょう。「友だちもおもちゃで遊びたかった」「取られて泣いている」と相手の気持ちに気づかせてあげることで、子ども自身、自分がしたことを考えるようになります。

感情で叱らず一呼吸の間をつくる

叱り方の話になると、「叱りすぎがいけないなら、甘やかせばいいの?」と解釈するお母さんがいます。“甘えさせる”のと“甘やかす”のは違います。甘えることは、子どもから親への愛情表現。抱っこしたり、しっかりと甘えさせることはとても大切。でも「甘えさせること=いけないことを伝えない」ではありません。いけないことは、きっぱりと伝えるべきです。でもそこに、親のイライラ感情ものせて叱ると、子どもには肝心のメッセージが伝わりにくくなります。

 

親だって人間です。イラッとしてつい、怒鳴りたくなることもあるでしょう。そこは、一呼吸置いて、ちょっとの“間”を作ることも大切。1歳過ぎくらいの子どもでも、親の感情をちゃんと受け取っています。子どもが判断して、自ら悪い行為をやめるのがゴールですから、怒鳴ってやめさせるより、子どもが自ら判断できる間を作ってあげましょう。

ほめて“いい行動”を伝える

「どうやって叱る?」と“叱り方”にばかり気を取られがちですが、叱られて「いけない」ことはわかっても、本当はどうした方が良かったのかは、子どもには伝わりません。“いい時にほめる”ことを心がけましょう。
 
「お友だちを叩いちゃいけません」と言うより、「おもちゃをかしてあげたから、お友だちがうれしそう。○○くん、やさしいね」と、いい関わり方をしたときにほめると、子どもはいい行為だと理解し、学んでいきます。

 

「だめ」「いけない」というマイナーメッセージでなく、「こうするといいね」とポジティブメッセージに置き換えて伝えましょう。

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/高祖常子

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