親が働いているかどうかに関わらず、子育て施設を自由に選べる

日本では保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省の管轄と分かれていますが、ニュージーランドでは1980年代半ばに就学前の子育てサービスがすべて教育省の管轄に一本化されました。

幼稚園、保育園、家庭的保育など名称はさまざまでも、総称して「ECE(Early Childhood Education/就学前教育)」サービスと呼ばれ、教育省が定めた統一カリキュラム「テ・ファリキ(Te Whāriki)」にもとづいて運営されています。テ・ファリキはマオリ語で「編み込まれた敷物」を意味し、子ども一人ひとりの個性や好奇心を大切に育むという理念が特徴です。

 

親が働いているかどうかに左右されず、家庭ごとにECEサービスを自由に選択できる点は今も変わっていません。たとえば1週間のうち、幼稚園2日、保育園2日、親子で参加できるプレイグループを1日、といった組み合わせも可能です。

3〜5歳は週20時間まで無料「20 Hours ECE」

ニュージーランドの就学前教育の柱となっているのが、3〜5歳の子どもを対象とした「20 Hours ECE」制度です。認可を受けたECE施設を1日最大6時間、週20時間まで無料で利用できる仕組みで、就学前児童の9割以上がなんらかの形でECEを利用しているとされています。

ただし、20時間という上限を超える利用分や、遠足費・給食費などの実費(オプション費用)は自己負担となるため、「20時間無料」といっても、実際には追加費用が発生する家庭がほとんどです。この20時間を超えて施設を利用する場合の負担を軽くする仕組みが、次に紹介する制度です。

 

家計にあわせた2つの経済支援:Childcare SubsidyとFamilyBoost

Childcare Subsidy(保育料補助金)は、労働・所得省(Work and Income)が所得に応じて保育料を直接補助する制度で、対象施設に通う時間が週3時間以上あることなどが条件です。

さらに2024年からは、FamilyBoost(ファミリーブースト)という新しい税還付制度も始まりました。これは、就学前教育にかかった実費の一部を、四半期ごとにIRD(税務局)が家庭の口座に還付する仕組みです。2025年7月以降の基準では、四半期の世帯所得が3万5,000ニュージーランドドル未満の場合、ECE費用の最大40%(四半期上限1,560ドル)を受け取ることができ、所得が上がるにつれて還付率が段階的に減っていき、一定の所得を超えると対象外になります。共働き世帯の負担が重い「20時間を超える保育料」を直接カバーする制度として定着してきています。

出産後の家計を支える「Best Start」と有給育児休業

赤ちゃんが生まれた家庭には、Best Start(ベスト・スタート)という給付金がIRDから支給されます。2026年4月以降に生まれた子どもの場合、週77ドルが支給され、年収7万9,000ドルを超えると徐々に減額される仕組みです(2026年3月以前に生まれた子は、1歳になるまでは所得に関わらず満額を受け取れる経過措置があります)。この給付は3歳の誕生日まで続きます。

出産や養子縁組の際に取得できる有給育児休業(Paid Parental Leave)も政府がIRDを通じて支給しており、2026年7月からの最大週額は811.05ドルで、最長26週間にわたって受け取ることができます。自営業者向けの最低保障額も最低賃金の引き上げにあわせて改定されています。これらの給付は毎年7月に、平均賃金の伸びにあわせて見直されるのが通例です。

 

子育てワンストップ支援団体「プランケット(Whānau Āwhina Plunket)」

ニュージーランド国内に住むすべての子育て家庭を対象に、無料でサポート・情報提供・アドバイスを行っているのが「プランケット」です。正式名称は「Whānau Āwhina Plunket(フアナウ・アウィナ・プランケット)」で、現在も国内の乳幼児の大多数がこの支援を受けて育っています。

  • 24時間対応の無料電話相談「PlunketLine」
  • 自宅訪問、オンライン、地域クリニックでの看護師による健診
  • Community Karitāne(地域保健専門職)やKaiāwhina(サポートワーカー)による家庭訪問支援
  • プレイグループなど地域とつながる場の提供

といったサービスを、保健省の「Well Child Tamariki Ora」プログラムのもとで無料提供しています。出産後まもない時期から子どもの誕生日ごとの節目まで、継続的に相談できる体制が整っているのが特徴です。