子どものほめ方、認め方~健やかな心を育むために

「すごいね!」 毎日の育児の中で、私たちはよかれと思ってこのような言葉を子どもにかけがちです。子どもをほめて伸ばしたいという気持ちは、親であれば誰もが持つ自然な願いでしょう。 しかし、毎日の慌ただしさの中で「どうほめればいいのかわからない」「ほめすぎてお調子者になったらどうしよう」と悩むことはありませんか。子どもが健やかな心を育み、自分を大切な存在だと思える「自己肯定感」を高めるためには、ただ闇雲に言葉をかけるのではなく、少しのコツが必要です。 ここでは、幼児期の子どもへの「響くほめ方」と、ありのままを受け入れる「認め方」について、今日からできる具体的なポイントをお伝えします。
「すごいね!」と声をかけても、どこか上の空で喜ぶ我が子。良かれと思ってほめたのに、どう言葉をかければ本当に子どもの心に届くのか、迷ってしまうことはありませんか。
この記事でわかること
- 子どものほめ方の基本となる「プロセスと事実の言語化」
- 親のうれしい気持ちを伝えて自己有用感を育む「アイ(I)メッセージ」
- できない姿も丸ごと包み込んで安心感を与える「ありのままの認め方」
- 完璧を目指さずがんばる「親自身を認める心のゆとり」
結果ではなく「プロセス」と「事実」に目を向けよう
まず意識したいのは、結果だけをほめるのではなく、そこに至るまでの「プロセス(過程)」や「努力」を言葉にすることです。
たとえば、「みて!みて!」と子どもが描いた絵を見せてくれたとき、可能ならすぐに対応できたらいいですね。
そしてつい「上手だね」とだけ言ってしまいがちです。もちろんこれもうれしい言葉ですが、結果だけの評価が続くと、子どもは「上手にできないとほめてもらえない」「失敗したらどうしよう」と不安を感じるようになってしまうことがあります。
そんなときは、「赤や青をたくさん使って、楽しそうに描いたんだね」「画用紙いっぱいに大きく描けたね」と、子どもが工夫したところや、目に見える事実をそのまま伝えてみましょう。さらに「楽しそうだね、何を描いたの?教えて!」というと、子どもが想像した場面を一生懸命伝えてくれることでしょう。こんなやりとりが子どものコミュニケーション力も育みます。
自分の行動をしっかり見ていてくれた、受け止めてくれたという実感が、子どもの「もっとやってみよう」という意欲や、困難に立ち向かう心の強さを育てます。
「うれしいな」という親の気持ちを伝える「アイ(I)メッセージ」
次に効果的なのが、主語を「わたし(親)」にして、自分のうれしい気持ちや感謝を伝える「アイ(I)メッセージ」です。
「お片付けができて偉いね」というほめ方は、親が上から子どもを評価する視点になりがちです。これを、「お部屋がきれいになって、ママはすごく気持ちがいいな」「自分でお片付けしてくれて、パパも助かったよ、ありがとう」と言い換えてみます。
大好きな親が自分の行動によって喜んでくれた、役に立てたという経験は、子どもにとって何よりの喜びです。これは自己有用感と言います。
この経験が積み重なることで、他者を思いやる気持ちや、社会の中で自立していく自信へとつながっていきます。
できない日も丸ごと包み込む「ありのままを認める」姿勢
「ほめる」ことと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが、子どもの存在そのものを「認める(受容する)」ことです。
幼児期の子どもは、感情のコントロールがまだ上手にできません。お友達におもちゃを譲れなかったり、園に行くのを嫌がって泣いたりと、親が「ほめられない」と感じる場面もたくさんあります。しかし、そんなときこそ「認める」チャンスです。
「もっと使いたかったんだね」「まだお家にいたかったんだね」と、まずは子どもの悔しい気持ちや悲しい気持ちを言葉にして受け止めてあげてください。親に自分の気持ちを分かってもらえたという安心感があって初めて、子どもは「次はこうしよう」と前を向くことができます。
特別なことができなくても、ただ元気に生きていてくれるだけで愛おしい。その気持ちを「あなたが大好きだよ」と、言葉やハグなどのスキンシップで日常的に伝えていきましょう。条件なしで愛されているという絶対的な安心感こそが、子どもの健やかな心を育む一番の土台になります。
心にゆとりを持って、親も自分自身を認めよう
子どもの心を育むためには、親自身の心が満たされていることも欠かせません。いつも完璧にほめたり、認めたりする必要はありません。イライラして怒鳴ってしまった日があっても、後から「さっきは怒りすぎてごめんね」と子どもに伝えれば大丈夫です。
毎日の育児をがんばっているご自身のことも、「今日も一日よくやった」とたくさん認めてあげてください。親の穏やかな笑顔と温かいまなざしが、子どもの心に何よりの栄養を届けてくれるはずです。