子どもの自己肯定感を高めるためには

「うちの子、どうしてすぐに諦めちゃうんだろう」「お友達と比べて引っ込み思案かも……」。日々の育児の中で、わが子の行動を見てそんな不安を感じることはありませんか。近年、子育てのキーワードとしてよく耳にする「自己肯定感」。これは、自分のありのままを認め、「自分は大切な存在だ」と思える心の土台のことです。乳幼児期は、まさにこの自己肯定感の根っこが育つもっとも重要な時期。毎日の暮らしの中にある親子の関わり合いを少し見直して、乳幼児の自己肯定感を育んでいきましょう。
「できた結果」ではなく「やろうとしたプロセス」を認める
子どもが着替えや片付けに挑戦しているとき、私たちはつい「上手にできたね」「早くできてえらい!」と結果ばかりを褒めてしまいがちです。しかし、結果だけを評価されていると、子どもは「うまくできない自分はダメな子だ」「失敗したら褒めてもらえない」と不安を感じるようになってしまいます。
大切なのは、結果に至るまでのプロセス(過程)や、子どもの「やってみたい」という意欲そのものに目を向けることです。たとえば、靴を左右逆にはいてしまっても「自分でやろうとしたんだね」とその気持ちを認めましょう。積み木が途中で崩れてしまったら「一生懸命高く積んでいたね」と、それまでの頑張りに寄り添う声をかけましょう。
親がプロセスを認めてくれることで、子どもは「失敗しても大丈夫」「挑戦すること自体が楽しいんだ」と思えるようになります。この安心感こそが、次に一歩を踏み出す挑戦心と、失敗を乗り越えるしなやかな自己肯定感へとつながっていきます。
条件付きではない「ありのままの存在」を無条件に受け入れる
「言うことを聞くからいい子」「お片付けができたから大好き」。無意識のうちに、こうした「〜だから愛する」という条件付きの愛情表現をしていませんか。乳幼児期の子どもは、親の言葉や態度を驚くほど敏感に察知しています。条件付きの愛し方を続けていると、子どもは常に親の顔色をうかがうようになり、「ありのままの自分」に自信が持てなくなってしまいます。
子どもの自己肯定感を高める最大の特効薬は、何かができてもできなくても、あなたの存在そのものが愛おしいと伝える「無条件の愛」です。機嫌が悪くて泣き叫んでいるときも、お友だちと上手におもちゃを共有できないときも、子ども自身を否定せず、まるごと受け止めることが大切です。
「どんな自分であっても、パパとママは絶対に自分を嫌いにならない」という絶対的な安全基地があるからこそ、子どもは外の世界へ安心して飛び出していくことができます。うまくできない部分も含めてまるごと受け入れられた経験が、揺るぎない心の土台になります。
子どもの感情を否定せず、まずは言葉で代弁して共感する
子どもが激しく泣いたり、怒ってモノを投げたりしたとき、「そんなことで泣かないの!」「怒るのをやめなさい!」と、その感情を否定して押さえつけようとしてしまうことは珍しくありません。しかし、感情を否定され続けると、子どもは「自分の気持ちは間違っているんだ」「イライラする自分はダメな子だ」と、自分の内面を否定的に捉えるようになってしまいます。
乳幼児期の子どもは、自分の心の中に湧き出たモヤモヤした感情を、まだうまく言葉で表現できません。だからこそ、まずは親がその感情をそのまま受け止め、言葉にして代弁してあげることが重要です。「もっと遊びたかったからイヤだったね」「おもちゃを取られて悲しかったね」と、子どもの気持ちに共感し、言語化のお手伝いをしましょう。
行動(モノを投げる、人を叩くなど)に対しては毅然とルールを教える必要がありますが、その根底にある「感情」そのものに良い悪いはありません。気持ちを分かってもらえたと実感できたとき、子どもは大切にされている安心感を得て、少しずつ自分の感情をコントロールする力を身につけていきます。
子どもの自己肯定感を育むために、まずは以下のようなことから始めてみてはいかがでしょうか。
・「上手だね」というよりも、「大変だったけど頑張ったね」「いろんな色を使えたね」と言葉をかける
・子どもが泣いているときは、理由を責めずに「悲しかったね」と気持ちを言葉にする
どれも些細なことに思えるかもしれませんが、こうした小さな関わりの積み重ねが、子どもの心に「自分は愛されている」という確信を植え付けます。親も完璧である必要はありません。まずはできそうなことから、少しずつ笑顔で試してみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q叱ってばかりの毎日です。自己肯定感に逆効果ではありませんか?
A叱ること自体で自己肯定感が崩れるわけではありません。大切なのは「子ども自身」や「気持ち」ではなく「行動」を注意しましょう。「ダメな子ね」ではなく「お友だちを叩くのはダメだね」と伝えましょう。怒りすぎてしまった後は「さっきはごめんね。ママ言いすぎちゃった」と言葉とスキンシップで伝えましょう。
Q褒めすぎると、うぬぼれたり打たれ弱くなったりしませんか?
A他人と比較して「一番すごい」とおだてたり、結果だけを過剰に褒めると、失敗を恐れる子になることがあります。伝え方のコツは、「自分でできたね」「手伝ってくれて助かったよ」と事実をそのまま伝えることです。子どもの行動やプロセスを認めるように心がけると、失敗を恐れず挑戦する、しなやかな心が育まれるでしょう。
Q親の私自身、自己肯定感が低くても子どもの心を育てられますか?
A大丈夫です。ママ自身の自己肯定感が低いということは、もっと子どもにやってあげたいという気持ちの裏返しかもしれません。完璧な親を目指さず、まずはママ自身がいろいろな人を頼って、「今日も1日育児を頑張った」と自分を認めましょう。親が自分を大切にし、心を平穏にしていることが、子どもの心を育むベースになります。肩の力を抜いて、子どもと一緒に少しずつ心の土台を育てていきましょう。