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子どものけんかに親はどう関わる?

人と関わり、調整する力を育むために…

子どものけんかに親はどう関わる?

おもちゃを取り合ったり、相手を押してしまったり、子ども同士関わる中で、ちょっとしたトラブルはつきもの。そんな時、どのような言葉をかけ、どう導いてあげたらいいのでしょうか?幼児期の心の成長と関わり方について、井桁容子先生にお話を伺いました。

井桁容子先生
東京家政大学ナースリールーム主任保育士。日本保育協会 保育実践研究企画・審査委員。NHK『すくすく子育て』などにも出演するなど、幅広く活躍。著書は『みんなの育ちの物語—子どもの見方が変わる』(フレーベル館)ほか。

子ども同士の関わりの中で人と調整する力が育まれる

子どものけんかが気になり始めるのは、2歳を過ぎた頃。この頃は、子どもはママと1対1の関係から一歩進んで、他の人への興味が広がり始める時期です。とはいえ、まだまだ自分が中心ですから、遊びたいおもちゃを他の子どもが使っていたら、横から奪ってしまったり、子どもによっては、言葉より先に手が出て叩いてしまうこともあるでしょう。

 

周囲の人の目が気になり、トラブルになるのを避けようとするお母さんは多いもの。子ども同士が衝突すると、お母さんは急いで解決しようとしがちです。
 
おもちゃの取り合いが始まったとたん、子どもの気持ちにおかまいなしに、「貸してあげようね」とお母さんが相手に渡してしまうこともよくあります。これでは、子ども自身、理不尽な思いを味わうだけで、心の成長にはつながりません。
 
世の中、いろいろな人がいて、意見や思いが違えば対立するのは当然です。もしお母さんが先回りして、トラブルを避けてしまったら、社会性が育つことが難しくなります。社会性とは、人との関係を調整する力。他の子どもとけんかをする経験は、自分と違う思いの人と出会って、相手の気持ちに気づける有意義な学びのチャンスです。おもちゃの取り合いで泣くこともあるでしょうが、それも子どもの成長過程で必要な経験です。

貸してあげられるのが“いい子”?

3歳頃までは特に、子どものペースや思いを優先してあげましょう。あるがままを受け止めて肯定してもらう経験が、子どもには必要です。自分の思いを大事にしてもらい、心が十分満たされてからでないと、人の気持ちを思いやることはできないからです。子どもがしたいようにさせて、満足するまで 待ってあげましょう。

 

「友だちに貸してあげられるのがいい子、やさしい子」というのは、大人の一方的な価値観です。大人でも大切な宝物を人に簡単には貸せないもの。子どもだって同じことです。今、一生懸命に遊んでいるおもちゃを、簡単には人に渡せなくて当たり前。むしろ「イヤ」(今は貸せない)と自分の気持ちを表現できたことを受け止めてあげましょう。

「今はこうしたい」という欲求を出すと、相手とぶつかります。トラブルを避けるには、わが子が「したい」という思いを抑えることになります。親が、相手に貸してあげることをいつも強要していると、子どもは自分の気持ちを抑えて、いい子を演じてしまいがちです。子どもが自分の気持ちを意思表示することを否定し、興味や好奇心の芽をつんでしまうことにもなりかねません。

根が優しくて、人と衝突するのが嫌いな子どももいます。そういうタイプは、逆に「イヤって言うのよ」と無理に言わされるのが苦痛なこともあります。その場合はお母さんが代弁して、相手の子どもに伝えてあげましょう。子どもはそれだけで、自分の気持ちを肯定してもらえたと満足できるものです。わが子のタイプに合わせて、肯定的な言葉がけを心がけましょう。

けんかになった状況で子どもの思いを解説して

まだ言葉が出なくても、1歳半を過ぎたら、言われていることはわかります。トラブルが生じた時、その都度、自分と相手の思いや解決方法のヒントを、言葉にして解説してあげましょう。すぐに理解できず、また同じことをしてしまっても、繰り返し伝えることが大事です。
 
例えば、集中して遊んでいるおもちゃを取られそうになった場合の、「イヤ」は子どもが心を素直に表現した意思表示。「今はこれで遊びたいんだよね」と気持ちを受け止め、次に「お友達も遊びたいって」と相手の気持ちを代弁します。その後で、「待っててねって言おうか?」「違うおもちゃもあるよって教えてあげる?」というように解決方法を提案してみましょう。貸してあげられない気持ちを子どもが伝えられない場合は、相手に「今は貸してあげられないんだって、ごめんね」と状況を説明してあげましょう。
 
自分が「イヤ」と言った時に、相手が悲しそうな顔をした、その様子を見てはじめて、子どもは相手の気持ちを感じとることができます。そして、自分はどうすればいいのかを考え始めます。経験を通して学ぶことで、しばらく遊んだ後で自分から「どうぞ」と貸してあげられたり、別な解決方法を提案できるようになっていきます。

自分で考えて「どうぞ」と貸してあげられたら、それは自分の遊びたい気持ちを抑えて、相手の気持ちを思いやっているということ。お母さんはその気持ちをいっぱい褒めてあげましょう。

 

 

トラブルの多い子どもほど学び成長するチャンスが多い

人に興味がある好奇心旺盛なタイプは、他の子どもとどんどん関係性を作っていきますから、トラブルも多いでしょう。でも、そういう子ほど、学んで成長できるチャンスが多いのです。
 
子どものけんかを見守るのは、忍耐もいるものです。お母さんが疲れていたり寝不足だと、ストレスが溜まって感情的になったり、おおらかに見守ることが難しくなります。お母さん自身がゆったりできる時間を取ったり、リフレッシュ法を見つけておくと良いですね。
 
子どもは経験を通して、自分と相手の気持ちを理解し、自分の気持ちをコントロールしたり調整する方法を学んでいきます。お母さんが解決してしまうのではなく、子ども自身が感じて動く時間を、ゆっくり待ってあげましょう。

子ども同士のトラブル発生!こんな時、どうしたらいいの?Q&A

子どものけんかやトラブルに悩むママの相談に、井桁先生よりアドバイスをいただきました

Q思い通りにならないと、相手を叩いたり、かんでしまうことがあります。(2歳6カ月の男の子のママ)

 

A.こういうタイプの子どもは、人との関わりが大好きでエネルギッシュです。叩いたり、かんだりは制止し、「叩くと痛いよ。○○したかったんだね」と解説してあげましょう。自分の思いと相手の思いが違うことや、思いのぶつかり合いだと理解していくことが大事。思いをちゃんと言葉で伝えられるようになると、トラブルも減ってきます。

 

Qおとなしい娘は、遊んでいるおもちゃを取られて、いつも泣いています。(3歳4カ月の女の子のママ)

 

A.「イヤな時はイヤと言っていいんだよ」と、自分の気持ちを伝えていいことを教えてあげましょう。おとなしい子どもは、無理に「イヤ」と言うのも辛いもの。まずはおもちゃを取られて悲しい気持ちを受け止め、子どもが言えない場合は、お母さんが代弁してあげてもいいのです。人と感情がぶつかるのを避けたい子、相手を思いやる気持ちが強い子は、泣かずにすぐに貸してあげることもできます。その場合は「やさしいね。貸してもらって嬉しいって」と相手の子の気持ちを伝えてあげましょう。

Q親しくしているママと、「うちの子も遠慮なく叱って」とお互いに言っていたのですが。ある時、相手の子を叱ったら、ママ友との関係もギクシャクして……。(4歳の男の子のママ)

 

A.「お互い様」と思っていても、状況によっては「なんでうちの子を叱るの?」という思いになることはよくあるもの。よほどお互いの叱るポイントの価値観があっていないと、難しい場合も多いでしょう。どちらかを叱るというより、子ども同士の気持ちを代弁し、解決のヒントを示してあげましょう。

 

Q気に入らないと、大きな声を出したり、泣いてかんしゃくを起こすので、他の子と仲良くなれません。どうしたらいいでしょう?(2歳の女の子のママ)

 

A.自分の欲求をまだ言葉で表現できないのでしょう。まず自分の思いを受け止められ、十分に満たされることが大事な時期。「イヤだったんだね」「まだ遊びたいのね」と、その子の思いを言葉にして共感してあげましょう。成長と共に、言葉でコミュニケーションを取れるようになっていくでしょう。

Q親しくしているママと、「うちの子も遠慮なく叱って」とお互いに言っていたのですが。ある時、相手の子を叱ったら、ママ友との関係もギクシャクして……。(4歳の男の子のママ)

 

A.「お互い様」と思っていても、状況によっては「なんでうちの子を叱るの?」という思いになることはよくあるもの。よほどお互いの叱るポイントの価値観があっていないと、難しい場合も多いでしょう。どちらかを叱るというより、子ども同士の気持ちを代弁し、解決のヒントを示してあげましょう。

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

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