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いざという時、自分を守れるようになるために 日常の体験から身につく  防犯意識と安全基礎体力

いざという時、自分を守れるようになるために

日常の体験から身につく 防犯意識と安全基礎体力

子どもが被害者となる犯罪が後を絶たない昨今。身を守るためにできること、防犯に対する意識を、怖がらせることなく子どもの心に育んでいきたいもの。子どもの安全教育に詳しい清永奈穂さんに、幼児期に必要なことをお聞きしました。

清永奈穂さん
(株)ステップ総合研究所・NPO法人体験型安全教育支援機構代表理事。子どもの安全、非行問題、規範教育、市民教育、地域安全、犯罪学が専門。園児や小学生向けに体験型安全教室を開いて、身を守るための具体的な方法を教えている。
http://www.ri-step.co.jp

赤ちゃんの頃は優しい人と関わり
安全安心の感覚を知ることが大事

子どもが一人で行動するようになるのは、小学校入学後。それまでに、体の使い方、人との関わり方など、「安全基礎体力」を身につけることが自分自身を守る上で大切です。日常のあらゆる経験が子どもには、実践的な安全教育になります。
 
赤ちゃんの時期に必要なのは、善良で優しい人たちとの交流です。多くの人に可愛がられ、「この世界は安全で自分は大切にされている」と繰り返し感じさせてあげましょう。ママが笑顔で接する相手は、無条件に安全な人だと理解します。安心できる関わりがたくさんあると、逆に、初対面で妙に距離感が近い人を「怪しい」と感じるセンサーが働きます。
 
赤ちゃんを連れ歩いて、声をかけてくれる方、信頼できるご近所の方と親しくなりましょう。お話しできるようになると、近所の方と挨拶を交わすなど、相手との信頼関係も深まり、会話することで子ども自身のコミュニケーション力も育まれます。児童館や商店街などにも出かけ、地域に我が子の顔見知り=成長を喜び応援してくれるファンクラブを作りましょう。信頼できるご近所さんは、小学生くらいになり一人で行動する頃には、何かあったら駆け込める“安全基地”になってくれるはずです。
 
地域を一緒に歩いて「ここは危ないから手をつなごう」などと話し行動することが、安全な所、危ない所を伝えることにもなります。一人で行動するようになっても、親が伝えてくれた視点が、行動の指針となります。

被害にあわないための『安全基礎体力』

犯罪者から狙われにくいのは、安全基礎体力がついている子ども。幼少期の大人との関わりや遊びを通して、自分を守る力が徐々に育まれていきます。

 

◎発達段階(年齢)に沿って少しずつステップアップ

 

※清永さんの資料を元に、編集部が加筆しました。

 

体の力
危機から脱出するために必要な、走る力、見つめる力、引っ張る力、しゃがむ力、素早く動く力。外遊びを通して身につけることができます。

 

危機に対する知恵・知識
危険な場所や状況などの知識、目の前の事象を危ないと察知し事前に回避するための知恵。お散歩などの際に、行動や言葉で伝えていきましょう。

 

コミュニケーション力
嫌なことは「イヤ」と言えて、困った時は「助けて」と周囲に伝えられるコミュニケーション力。「イヤ」という気持ちを受け止める親子関係も大切です。

 

大人力
これらのことを通して、自分で判断し決定し行動できるようになります。大人=自律して動くことができる力が最も大事。

日常のあらゆる体験が子どもへの安全教育になる

子どもの視野はとても狭く、大人ほど周囲が見えていません。犯罪者は20m先から様子を見ていて、その隙を狙って近づいて来ます。
 
お散歩しながら「あそこの車は何色?」「向こうのワンチャン、見える?」などと声をかけ、意識的に遠くを見る練習をしましょう。
 
マンションのエレベーターに乗る時は、怪しい人がいたら、一緒に乗らない、エレベーターの中ではボタンの前に立ち、親しい人には「どうぞ」と声をかけるなど、ママの振る舞いが子どものお手本になります。

いざというときに大声を出すことは、経験していないととっさにはできないもの。例えば、広い公園で距離をとり、「○○ちゃ~ん」「ママ~」と大きな声で呼び合う遊びをしてみましょう。外遊びの鬼ごっこは、走って逃げる練習になり、鬼からどのくらい離れたら捕まらないかという距離感を体感できます。思い切り遊ぶことが、身を守る力にもつながります。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

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