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緊急現地取材

それぞれの子どもを尊重する!カナダの子育て

留学先などでも人気のカナダ。子育てしやすい国と名前があがることも多くあります。なぜ子育てしやすいのかを探るべく、miku編集部が、ブリティッシュ・コロンビア州の子育てを取材してきました。

 

就学前教育サービスの一例 バンクーバーの保育園や幼稚園など

毎日、終日通わせる親もいますが、午前中や午後だけ、または週に数回と、親の希望によって通わせている日数や時間はさまざまです。同じ系列の園であっても、一律に同じ保育を行っているところはほとんどなく、自由度が高い保育が行われているのが特徴です。

 

プリスクール

このプリスクールには、3~5歳児が通っています。年齢を分けずにミックスして保育を行っています。午前のみ来る子、午後のみ来る子、月水金だけ来る子など、親の都合に合わせて保育を行っています。

1)先生が魚の名前を言って、子どもたちが手をあげ、魚の絵をボードに貼っていきます。 2) おやつを自宅から持参して食べます。中身はフルーツやクッキーなどでした。 3)子どもたちから見えるところに、「園のルール」が貼ってありました。「叩かない」「きれいにしよう」「いい言葉を使おう」などが書かれています。

 

 

ファミリードロップイン

日本の子育てひろばのような場所。それぞれの場所で、提供しているメニューは異なり、子どもの預かりなどをしているところもあります。親支援のプログラムが無料や有料で豊富にあり、親はその中から、自分にあったプログラムを受けます。スタッフは、さまざまな言語に対応できるようにしているということでした。

1)遊びのスペースがいくつかに仕切られています。 2)この日はノーバディーズパーフェクトの講座が行われていました。

チャイルドデイケア

少人数の子どもを自宅で預かります。資格を持っていなくても、チャイルドデイケアはできますが、有資格者の方が料金が高く設定されています。親はいくつものチャイルドデイケアをチェックし、希望にあった場所を見つけます。お昼は自宅から持ってきたランチボックスを食べ、部屋や庭で遊んだり、ときどき公園に行くそうです。

1)広い庭でも遊びます。 2)子どもを預かるデイケアのお宅には、外に看板が。 3)インド系カナダ人のマーシャさんと遊ぶ子どもたち(1歳半、1歳11カ月、2歳)。

 

 

グループデイケア

YMCAが行っている幼保園のような施設です。BCフットボールのマネージャーの寄付で作られたそうです。この地域は、貧しい家庭が多いと言うことで、親の仕事も不安定で、食事もろくに食べられない、発達が遅い子どもたちも多く通っているそうです。3歳までの子どもたちを積極的に保育し、その延長線上で、家族の問題も解決したいとアプローチしているということでした。家庭の状況によっては、園から個別の家庭に食材を提供することもあるそうです。水曜日の夜は、園に通っている家族を一堂に集めて、食事会を行うそうです。取材時はちょうど感謝祭の時期だったので、七面鳥を焼いてパーティを行うということでした。家族を集めることで、横のつながりを作り、また家族プログラムを実施することもあるそうです。

1)家にいるような、あたたかさを感じるプレイコーナーがいっぱいあります。 2)園内にコックさんがいて、食事を作っています。 3)園の入り口には、フルーツと、市民から提供された古着がありました。希望者は持ち帰れるそうです。 4)YMCAの施設は寄付で建てられ、運営されています。

 

ノーバディーズパーフェクト~完璧な親はいない 

日本でも注目されている、カナダ生まれの親支援プログラム“Nobody’s Perfect”。「完璧な親はいない」という前提で、可能な限りのことをすれば良い、できなければみんなで助け合いましょうというプログラム。日本でもNobody’s Perfect JAPANがスタートし、普及活動をしており、日本語に翻訳したテキストも出版しています。

プログラムは0歳から5歳くらいの子の親を対象に、1回2時間で6週間のプログラムを実施します。6週間のプログラムを終了すると、完了証が渡されます。参加費は無料(政府が負担)で、参加するのにバス代などの交通費も払えないような家庭には、バスの切符を支給することもあります。

 

プログラムのテーマは、「BODY/からだ、SAFETY/安全、MIND/こころ、BEHAVIOUR/行動、PARENTS/親」の5つです。

プログラムには決まったカリキュラムはなく、初回集まった時に、参加者がトピックを出し合い、ワークショップ形式でみんなで話し合いながら進めます。ファシリテーター(トレーナー)は先生ではなくガイドに徹します。育児の専門家としてではなく、参加者全員でいっしょに問題を解決するためにサポートする役割を担っています。

プログラムの参加者は、母親だけでなく祖父母や父親もいます。父親向けのプログラムもあります。バンクーバーは多国籍・多言語の人が暮らしているので、言葉も英語だけでなくフランス語、スペイン語、中国語、パンジャビ語(インド地方の言葉)、日本語……多くの言葉に対応しています。

 

 

写真中央オレンジ色の服の女性がファシリテーターで、参加者は、Facebookやスーパーの掲示板などで今回のプログラムを知り、申し込んだと言うことでした。

仲良し日本人ママたちに聞く、カナダの子育て 

ベビーマッサージクラスで出会ったという、カナダで出産&育児しているママたちにお話を伺いました。お子さんは1歳4カ月から1歳6カ月です。

まずママたちが口々に言っていたのが、日本の妊婦健診での体重管理が厳しいと言うこと。 「8カ月の時に、18kg 増えてたんですが、助産師さんにビューティフル!って言われました」とのこと。妊娠から出産までは、助産師さんか、産婦人科医にかかるのか、どちらかを自分で選ぶそうです。また、家族は基本的にファミリードクターにかかるということですが、お産を取れるファミリードクターなら、出産もする」とのこと。何か重い病気などの場合は、スペシャリスト(専門家)にかかるということでした。

 

日本で言う母親学級は、両親学級3回+母乳クラス。平日の夜や週末にも開催され、パパも一緒に行くのが、基本だそうです。妊婦健診も、基本的にパパも同行するとのことでした。両親学級では、薬を使って無痛分娩するのか自然出産するのかなど、出産方法の希望を伝え合い、ママとパパで希望が違う場合には、話し合いをうながされるとのことでした。
 
出産は無料で、無痛分娩はもちろん水中出産なども希望することができるそうです。 出産後は翌日(早い人はその日)に退院し、ミッドワイフ(担当助産師)が産後1カ月くらい、何度か家に来てくれて、産後の体調を見てくれるとのこと。赤ちゃんのお風呂の入れ方などは、地域の看護師さんが指導してくれるとのことでした。

BC州の母子手帳日本でも最近活動が始まりましたが、ドゥーラという役割の人がいて、ママが頼むと、陣痛が始まったときに病院に一緒に行ってくれるなど、ママに寄り添うサポートを行ってくれます。
 
そして誰もが言っていたのが、カナダの人たちが優しいということ。ベビーカーを押して電車に乗ると、優先してくれて、さっとスペースをあけてくれるそうです。笑顔で話しかけてくれたり、子どもがぐずった時に、歌をうたってあやしてくれた人がいたというお話しもありました。「こうすべき」という考え方がなく、それぞれの子育て方法が尊重されること、他の子との違いを楽しめることが、カナダで子育てしやすいところだということでした。

 

母子手帳には、予防接種の実施日記入欄が。全部無料。

取材協力/ブリティッシュ・コロンビア州政府 取材・文/高祖常子

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