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「お産のカタチ」よりも大切なこと

理想の産み方ができなかったことに、今も苦しんでいませんか?

「お産のカタチ」よりも大切なこと

出産のスタイルが選べるようになった一方で、帝王切開率は高まり、希望した出産ができなかったことが、心のわだかまりになっている人が増えています。「私の努力や自覚が足りなかった?」「帝王切開は“いいお産”じゃないの?」そんな思いを抱いたときは、どうすればいいでしょう? 産後ケアにも力を入れている産婦人科医の森山明宏先生に伺いました。

森山明宏先生
大阪府済生会中津病院産婦人科部長。医学博士。産婦人科全般(婦人科腫瘍・不妊)。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。麻酔科標榜医。http://www.nakatsu.saiseikai.or.jp/osan/

赤ちゃんにとって、何が一番大切か?

お産の現場に携わっていると、帝王切開が増えているという実感はあります。15年前は15%程度だったのが今は20%、施設によっては30%のところもあります。背景には、出産の高齢化や不妊治療などによりいわゆる「ハイリスク出産」が増えたことがあります。
 
自然出産をするつもりだった人が、医師から帝王切開の話をされると、敗北感を感じたり、納得できないということもあるでしょう。でも、出産というのはもともと思い通りに行かないもの。どんなに医療が進歩しても出産という行為のリスクがゼロになることはないし、「無事に産まれて当たり前」ではないのです。

お産の主役は、ママではなく赤ちゃん

もちろん、妊娠中にどんなお産がしたいかを考えたり知識を得ることはとても大切なことです。でも、その理想にしばられすぎず、柔軟性を持ってほしいなと思います。

例えば、妊娠41週を過ぎると胎盤の機能不全が起こることがあります。その時に医師が陣痛促進剤を使うことを提案すると、陣痛促進剤が怖いというイメージだけが先行してしまう場合も少なくありません。帝王切開でもとくに緊急帝王切開の場合は、心の準備ができないまま出産し、喪失感を覚え、周囲の心ない言葉に傷ついたこともあるかもしれません。

母体や赤ちゃんの状態によって、医療処置が必要になった場合、「今、何が一番大切か」を夫婦で考えてほしいと思います。最も優先すべきは、赤ちゃんが安全に産まれてくること。必要な医療処置を受け入れる気持ちの余裕も必要です。

当科では年間500件以上の分娩をおこなっていますが、お産は本当に一人ひとり違うものです。そしてお母さんの思った通りに行くとは限らない。理想のお産ができなかったときは、もしかしたら赤ちゃんが「僕(私)は、こうやって産まれてくるよ」と言っているのかもしれません。どんなに小さな赤ちゃんも、胎児も、お母さんとは違う一人の人間なのですから。
 
出産は「私が産む」「私の理想の産み方をしたい」と考えがちです。でも、お産の主人公はお母さんではなく赤ちゃん。赤ちゃんが本来持っているすばらしい力を使って、お母さんと力を合わせて生まれてくるということは、自然分娩でも帝王切開でも、何も変わりません。産み方に罪悪感やコンプレックスを感じる必要などどこにもないのです。

子育てに大切なのは、フレキシブルさ 

これから続く子育て期は、思い通りに行かないことの連続です。そこで求められるのは、「切り替え」や「フレキシブルさ」。努力した分だけ成果が出る勉強や仕事とは違い、出産や子育ては、相手があってのもの。「この子にとってはどうだろう?」と相手の立場で考え、相手の状況や思いを受け入れることが大切です。
 
今はもう出産を終え「子育て」というステージに立ったのです。過去に縛られていてはもったいない。

日々成長しているわが子へ目を向け、未来のためにできることを考えていきましょう。
 
大丈夫。はじめからうまくいく親なんていません。親は子どもとともに、親になっていくのです。理想のお産ができなかったという気持ちも、それがベストだったと受け止め、気持ちを切り替えていくと、きっと、親としてひとつ強くなれるはずです。

 

前回の出産体験がつらくて、二人目を産むのが怖いママへ

帝王切開でも自然分娩でも、一度目の出産のつらい体験が原因で、次の出産を怖いと躊躇してしまう方も少なくありません。その時のことを思い出すのもつらいかもしれませんが、まずは「自分が本当はどうしたかったのか」、「次はどんな風にしたいのか」を言葉に出し、すでに妊娠中なら、産婦人科医に伝えてみましょう。帝王切開だった人も、次は幸せな帝王切開を目指 し、つらいイメージを上書きすることもできます。緊急帝王切開とは違い予定帝王切開なら、納得して安心して産むことができるでしょう。痛みは、自然分娩でも帝王切開でも毎回違うもの。心配し過ぎる必要はありません。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/椹寛子

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