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乳幼児の食物アレルギー対策

正しい診断を受けて、量を守って食べる!

乳幼児の食物アレルギー対策

食物アレルギーがあると食べる物が限られてしまい、ママも子どももストレスがかかりますね。乳幼児の食物アレルギーに詳しい、今井孝成先生にお話を伺いました。

今井孝成先生
昭和大学医学部小児科学講座講師。食物アレルギー研究会世話人。小児の食物アレルギーを専門とし、多くの臨床研究に携わる。共著に『食物アレルギーの栄養指導」(医歯薬出版)ほか。

特定の食品に過剰に反応 皮膚炎がある場合は悪化傾向

食物アレルギーは、特定の食品を食べてアレルギー反応が起こる病気です。最近では、乳幼児の5~10%が食物アレルギーを発症しています。
 
症状としては、食べた直後から2時間以内に、じんましん、唇の腫れ、咳き込む様子などが現れます。ただし、ほとんどは、時間の経過と共に症状が消えていきます。重症の場合は、呼吸困難やショック状態になり、命にかかわることもあります。
 
乳児は特に消化吸収能力が未熟なため、栄養素を体に取り込みながら、不要な物を排除する機能がうまく働かないことがあります。親が何らかのアレルギーを持っていると、離乳食が始まった頃、本来、栄養素である食べ物を異物と判断し、アレルギーを発症することがあります。すでに慢性の湿疹がある場合は、食べ物によるアレルギー反応が引き出されやすくなり、症状を悪化させるケースが増えています。
 
ただし、成長と共に消化器官が発達してくると、食べられなかったものが、自然と食べられるようになります。3歳で約5割、6歳で約9割の子どもが、卵や牛乳、小麦を食べられるようになっています。

食べられる量を食べるのが最新の食物アレルギー治療

これまでの食物アレルギーの指導は、「原因食品をいっさい食べない」が常識でした。しかし最近は、「必要最小限の除去」という考え方に変わってきています。

どの食品にアレルギーがありそうなのかは、0歳児から血液検査で調べることができます。ただし、検査でわかるのは、あくまでも傾向。陽性だからと言って、必ずアレルギー症状が出るわけではなく、少量なら食べて問題ないこともあります。ところが現状は、検査結果を受けて、「陽性が出た食物は完全除去」する指導が行われていることから、本来は食べても大丈夫なものまで、過剰に制限されているケースが少なくないのです。

陽性の食物が多くなれば、食べられる食材で工夫するなど、日々食事を作る親の負担が増えます。子どもにとっても、成長に必要な栄養が十分に摂れないという問題も生じてきます。

 

 

消費者庁がアレルギー物質を含む【特定原材料等】と指定している品目は以下25品目

義務 えび
かに
小麦
そば

落花生
 
推奨 あわび
いか
いくら
オレンジ
キウイフルーツ
牛肉
くるみ
さけ
さば
大豆
鶏肉
バナナ
豚肉
まつたけ
もも
やまいも
りんご
ゼラチン
カシューナッツ
ゴマ

 

食物アレルギー研究会
http://www.foodallergy.jp/

※食物負荷試験を実施している施設が紹介されています。

食物負荷試験にもとづく診断と食事指導を受けることが大切

食品ごとに、食べても問題ない量を厳密に調べるのが「食物負荷試験」です。これまで厳しい食事制限を受けていた子どもが、定期的に血液検査と食物負荷試験を行い、正しい診断と適切な指導に切り替えると、食べられる種類と量が徐々に増えてきます。
 
まずはお母さんが、食物アレルギーについて学び、正しい情報にアクセスすることが大切。もし今、かかっている医療機関の診断に不安があれば、食物負荷試験を取り入れた、適切な診断と指導が受けられる医療機関を見つけましょう。

赤ちゃんが離乳食を進める際は、大丈夫なら1さじずつ増やしていく方法で、様子を見ながら進めましょう。例えば、卵を食べてじんましんが出たからと、自己判断で制限するのは危険です。アレルギーに詳しい小児科で診断を受け、適切な食品除去を行うことが大切です。食事日誌をつけて、食べた物と症状、症状が続いた時間などを記録しておくと、医師に相談する際に役立ちます。もちろん強い症状が出た場合は、すぐに受診しましょう。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

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