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新型出生前診断をどうとらえる?

夫婦の話し合いと専門カウンセリングが大事

新型出生前診断をどうとらえる?

4月からスタートした新型の出生前診断。血液検査だけで、おなかの赤ちゃんの染色体異常を調べられるので、妊婦さんたちの関心が高まっています。受けるにはどのような心構えが必要なのか、ガイドライン作成に関わられた、斎藤加代子先生にお話を伺いました。

斎藤加代子先生
東京女子医科大学附属遺伝子医療センター所長・教授。専門は遺伝医学、遺伝子医療、小児科学、小児神経学。新型出生前診断のガイドライン作成にあたり、遺伝カウンセリングの重要性をアドバイス。

新型出生前診断って何?ガイドラインとは?

新型出生前診断は、妊婦さんの血液に含まれるわずかな胎児のDNAから、ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミーという3種類の染色体異常について、陽性か陰性かを判別する検査です(※1)。妊娠10週から受けられ、採血した血液をアメリカの検査機関で解析して、約2週間で結果が出ます。
 
日本産科婦人科学会ではガイドラインを定め、検査に際して、専門知識と経験を備えた“遺伝カウンセラー”によるカウンセリングを受けることを原則としました。さらに、誰でも検査が受けられるわけではなく、「超音波検査で胎児の染色体異常が疑われると指摘された」「以前に染色体異常の子を妊娠・出産したことがある」「35歳以上の高齢妊娠」という項目のいずれかに当てはまる希望者に限っています。
 
この指針の背景には、「先天的な異常については、出生前診断を行うことにより、障がい(※2)が予測される胎児の出生を排除し、ついには障がいを有する者の生きる権利と命の尊重を否定することにつながるとの懸念がある」(「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」より)という考え方があります。

遺伝カウンセリングがなぜ必要なのか?

現在、新型出生前診断は、相談体制が整った大学病院や医療センター18カ所で実施。検査を受けるには、妊婦健診などでかかりつけの産婦人科医に相談し、検査を行う施設に紹介してもらう必要があります。
 
出生前診断は、「産む」か「産まない」かを安易に判断するためのものではありません。子どもが障がいを持っている可能性があっても育てたいという考えもあれば、いろいろな事情から、子どもを産み育てることができないという判断する場合もあるでしょう。
 
遺伝カウンセラーには、診断後に相談するだけではなく、まず、「出生前診断を受けるか受けないか」を相談することから始まります。出生前診断をなぜ受けたいのか、その結果を受けてどう判断するのか、また判断材料として、障がいの内容、どのような治療やサポートが必要なのか、家族としてどう支えていくのかなどの情報提供もなされます。

出生前診断の結果を受けて夫婦で前向きな選択を

出生前診断をきっかけに、夫婦でお互いの価値観や考え方を確認しあうことができたり、気持ちの変化が生まれるなど、プラスの影響をもたらすことは多いものです。陽性だったら子どもはあきらめようと考えていたカップルが、障がいがあるという事実を知ったうえでじっくり話し合い、親となる心構えと覚悟を持つことができたというケースも少なくありません。

 

「障がいがあると不幸だ」と考える方がいるかもしれませんが、疾患をかかえながらもイキイキと生きている方や、障がいを持つお子さんを愛情いっぱいに支え、幸せに暮らしている家族もたくさんいます。

考えを重ねた結果「大切な命だからこそ産めない」という判断をする場合もあるでしょう。そのような決断になっても、それは責められることではありません。

「すべての命は尊いもの」であり、「先天性疾患も個性や多様性の一つ」です。障がいのある子どもが地域の人々に助けられ、健常な子どもたちと共に成長できるような社会づくりも重要でしょう。


新型出生前診断を実施している病院

カウンセリング体制の整った全国18カ所で実施されています。

 

北海道大、岩手医大、宮城県立こども病院、新潟大、国立成育医療研究センター、昭和大、東京女子医大、埼玉医大、横浜市立大、名古屋市立大、藤田保健衛生大、大阪大、大阪市立総合医療センター、兵庫医科大、徳島大、愛媛大、国立病院機構九州医療センター、長崎大(2013年3月21日現在)

 

母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針(日本産科婦人科学会)

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/guidelineForNIPT_20130309.pdf

 

検査に関する臨床研究や情報提供を行うNIPTコンソーシアム 

http://www.fetusjapan.jp/nipt/
検査の目的や対象、実施施設などを紹介。

 

※1 検査会社のデータでは、陽性の的中率は80~95%(年齢などによる差)、陰性は99%。陽性の場合、診断確定のために追加で羊水検査が必要。
※2 指針原文では障害となっていますが、mikuでは障がいと統一表記とさせていただいています。

>>「マタニティ、産前・産後」記事一覧へ

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

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