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子どもの個性を伸ばす!ニュージーランドの子育て

緊急現地取材

子どもの個性を伸ばす!ニュージーランドの子育て

図1 妊娠期から5歳までの子育てサービス基本フロー

 

子どもを育むカリキュラム「テファリキ」

1996年にニュージーランドで定められた幼保統一カリキュラムが「テファリキ」。4つの原則と5つの要素が織り込まれ、これを元にして各教育機関がオリジナリティを加えています。(図2参考)
 
ほとんどの教育機関は、日本的な一斉教育(先生が前に立ち、子どもを並ばせて指導する)を行っていません。テファリキの考え方をベースにしながら、子どもそれぞれの個性を育む指導をしています。
 
その日、子どもがやりたい遊びを、保育者がサポートし発展させていく教育法。群れになって遊ぶ子もいれば、1人じっくりと別な遊びに取り組む子もいます。
 
ニュージーランドの先生や親は、とにかくほめるのが上手です。いろいろな角度から子どものいいところを見つけます。子どもの個性やいいところを伸ばす教育です。

 

 

子どもの遊びや発想を「ラーニングストーリー」に

子どもの遊びや発想は、ラーニングストーリーに記録されます。連絡帳のような思い出BOOKのようなものです。子どもがどんな風に遊び、その前後でどんな内面思考を持ち、発展させていったのかということを、写真も交えて先生がストーリーを書いてくれます。親も、ラーニングストーリーを読むことによって、子どもの遊びへの関わり方や発展のさせ方を学ぶことができます。

 

 

妊娠中から一貫した子育て支援の仕組み

保育教育を支える出産・育児・健康サポート支援も充実しており、妊娠中から子どもが生まれてからも、継続して支援を受けられるのがニュージーランドの特徴です。図1が示す通り、妊娠するとミッドワイフ( 担当助産師)が決まり、妊娠中の健診やサポートをします。出産後数週間はミッドワイフがサポートを行い、その後はプランケット(子育て支援団体)に引き継がれます。プランケットは定期検診や予防接種なども行い、また24時間の子育て相談にも対応しています。
 
このように官民一体となった出産・育児・保育・就学前教育サービスが一貫しているニュージーランドは世界的にも北欧諸国と並び“産み育てやすい国”と評価(※)されています。

 

※世界母親指標2012(セーブザチルドレン調べ)では、ニュージーランド は世界4 位(1位ノルウェー、2位アイスランド、3位スウェーデンに次ぐ)の評価。

 

図2

ニュージーランドの就学前教育指針「テファリキ(Te Whariki)」

テファリキは、マオリ語で、縦横に編むという意味です。4原則と5つの要素を絡み合わせ、子どもを主体的に育てていこうという考え方です。

イメージ

4つの原則

◎エンパワメント(Empowerment) 子ども自身が力を付ける
◎ホリスティックデベロップメント(Holistic Development) 全人的成長
◎ファミリーアンドコミュニティー(Family and Community) 家族と地域の中で育つ
◎リレーションシップ(Relationships) さまざまな関係をつなげる学習

 

5つの要素

◎子どもの健康と幸福(Well-being)
◎子どもの学び(Contribution)
◎体験による探求(Exploration)
◎子どもの個性と性格(Belongings)
◎対話力・発言力(Communication)

 

写真

ラーニングストーリー
子どもの動きを先生がよく見て、作成してくれます。親はいつでも閲覧できて卒園記念に手渡されます。

KIWI(ニュージーランド人)パパ・インタビュー

写真クリスパパ&エリカママ&アミちゃん(3歳)

 

福岡県で結婚して暮らしていましたが、3 年前に子育てしやすいニュージーランドに戻りました。6歳児の男の子もいる4人家族です。洗濯を干したり畳んだりするし、皿洗いもします。「作った人は洗わない」というのが、こちらの考え方です。保育園のお迎えも週に3回行っています。

写真ブレアパパ&イクコママ&ゾオイちゃん(3歳)

 

高校で地理の先生をしています。平日も夕方帰宅して毎日子どもと遊びます。私の父は仕事人間でしたが、時代が変化して夫婦協働の子育てが大切だと考えます。子どもの就寝時間は7 時頃、たまに夫婦で出かけるときには近所の祖父母が子どもを見てくれます。

 

>> 多様な就学前教育サービスの一例

取材・文/高祖常子

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