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子どもが本気で、あそぶこと

思いのままにあそぶ経験が、未来につながる心の栄養になる!

子どもが本気で、あそぶこと

「あそぶ」ことが、大人がイベント的にサービスしたり、おもしろさを与えたり、または禁止事項ばかりになっていませんか?子どもが、本気であそぶこと、子どもの時間を過ごすとはどういうことなのか、子どもと一緒にあそび・生きる活動をしている北島尚志さんに伺いました。

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北島尚志さん
NPO 法人あそび環境Museum アフタフ・バーバン理事長。ドラマ教育のプログラムを基に、劇団・児童館での経験・実践を生かした独自のあそびプログラムを開発。講演会、ワークショップ、公演などで全国に出かけている。

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子どもは本当にあそんでいるのか

ボクの活動は児童館からスタートしました。練馬区の児童館で16年働き、あそびの研究会を立ち上げて、それが現在、活動しているNPO法人あそび環境Museum アフタフ・バーバンにつながっています。
 
ボクが児童館で働いていたとき、けん玉検定や、竹馬検定を行っていました。何級とか、何段とか、名人とかあって、優秀だと、区大会や都大会に出られるんです。
 
でも、ゲーム大会をしたある日、女の子がボクのところに来たんです。

「今日も楽しかった?」と聞くと、「楽しかったよ。ゲーム大会はこれで終わり?じゃあ、これからあそべるね」って。それを聞いてはっとしました。「子どもにとって、ボクが企画したゲーム大会は、あそびじゃなかった」と。子どもにとっては、大人がゲームやあそび方を教えて、それに合わせているに過ぎなかったんだと。
 
その話を児童館の先輩にしたところ、「子どもの話をしたのって、初めてだね」って言われました。それまでは、「今日のイベントの導入は、こうしよう。これの次にこれをやって」と、企画の内容や、自分のことばかりだったなって。

子どもがあそび込むことで心の扉を開く

子どもの発想は豊かです。一輪車を逆さまにして、ペダルを手で回しながら、かき氷屋さんごっこをしたり、竹馬をかついで鉄砲ごっこをしていたり。竹馬に、色を塗ってあげたら、児童館の前の道に、ブルー、オレンジなどの鉄砲を持って見守る警備隊が並んでいることもありました。
 
コマ大会の日には、“巻きぐそ”事件が発生(笑)。「コマに糸を巻き付けて、それをテープで留めて回すと、ぐるぐると巻きぐそみたいになっておもしろい」というあそびを、子どもたちが発見。女の子は「スパゲッティ回しって言うんだよ」と言ったり、男の子は「ひもを、ウンチ色に塗ろう!」と言って、黒や焦げ茶や、おうど色で、ひもに色を付けました。

「遊戯室の隅に、巻きぐそを作ろう」という作戦を決行したら、今度は、児童館の館長のイスの下に巻きぐそを3つ作りたいということに。館長がいない間に巻きぐそが完成し、館長が気が付かずに、椅子に座ってくれて……。それを息を凝らして見ながら、子どもたちと「やったね」と、小さくガッツポーズしました。
 
「アフタフ・バーバン」は、アラビア語で「扉よ、開け!」という意味。あそびをつくる力、おもしろくする力は子どもの中にあるんです。きっかけを与えるのは、他の子どもや、大人の場合もあるけれど、その扉を開けるのは、子ども自身なんです。

禁止によって子どもの心が閉ざされる

現代は、子どもが心の扉を開けにくい、閉ざしてしまう時代です。公園にはボールあそびをしてはいけない、木に登ってはダメと、禁止事項が書き出されています。大人が「あそび」を理解せず、禁止ばかりしたり、大人が決めたルール通りにさせては、子どもの心は扉を閉ざしたままになってしまいます。子どもが自由に発想し、それを突き進めていかれる環境があることはとても大切です。
 
まちを使った忍者あそびをしようとすると、「ここから、向こうへは行ってはいけない」「お店の物は触らないで」「お店で騒ぎ立てないで」など、周りの大人が禁止を並べがちです。でも、子どもがあそびに集中しているときは、すごく力を発揮していて、ケガをすることもないし、商店などでも、人の迷惑になるようなことはしないんですよ。

たとえば、忍者ごっこの場合は、「敵に見つからないように、おじぞうさんになろう」なんて、じっとして道ばたに立ってみたり、おばちゃんと家族のふりをすれば気が付かれないかもとか、風呂敷に隠れようとか……。

 

“隠されし巻物を見つける”というミッションのために、子どもは見つからないように、声を潜めて静かに動くのですが、それが楽しいんです。同じ内容で、大学生や大人向けのワークショップを行うことがありますが、大人からも「何もしなくても、こんなに楽しいんだ」という声がたくさん出てきます。

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/高祖常子

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