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社会の人間関係の中で育てる!家族の中の子どもを考えよう

社会の人間関係の中で育てる!

家族の中の子どもを考えよう

少子化、核家族化によって、家族の単位が少なくなっています。子どもの育ちを考えたとき、家族とはどのような存在であるべきなのでしょう。家族関係に詳しい中釜洋子先生に伺いました。

中釜洋子先生
東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授。臨床心理士・家族心理士。東京大学学生相談所カウンセラー、ハーバード大学ケンブリッジ病院研修員、東京大学助手、東京都立大学人文学部助教授、上智大学文学部心理学科助教授を経て現職。

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「家族」という定義が難しくなってきている

今の日本では、「家族」の定義が難しくなっています。家族というと、一般的に血のつながっている肉親と考えるでしょう。でも、家族を「夫婦と子ども」と答える人、「同居の祖父母も家族」と答える人、「別居の祖父母も家族」と答える人などさまざまです。
 
社会が多様化し、離婚したり再婚する人も少なくありません。子連れ再婚して相手の親と同居。その後夫が亡くなって、ママ自身は直接血のつながりがない義母と一緒に暮らすという形もあるでしょう。
 
「家族」という定義が決まっていれば迷わないわけですが、自分と他人はもちろんのこと、夫婦でも、考え方が違うかもしれません。家族について、ぜひ夫婦で話してみるといいですね。

わが家の「家族」を柔軟に考えてみる

このように、今は「家族」というもの自体、いろいろな考え方があり、多様であると言うことです。自分たちさえ納得すれば、いくらでも柔軟に考えることができます。
 
遠く離れて暮らしている祖父母はもちろん、たとえば、とても子どもをかわいがってくれる隣りのおばちゃんや、いつも子どもがお世話になっているファミリーサポートさんやベビーシッターさんだって、大きな意味での家族という捉えかたもあるわけです。家族ぐるみでよく交流している友だち家族同士も、大きな意味で家族と捉えてもいいでしょう。

 

 

孤立化の状況を自分で作っていないか?

最近、わが家のルールを知らず知らずのうちに細かく決めてしまって、ママ友だちや祖父母などの考えが自分に合わないと、つきあいを狭めてしまうケースも少なくありません。
 
たとえば、「おばあちゃんの家だと、子どもに甘いものを食べさせてしまう」「わが家ではビデオを禁止しているのに、友だちの家だと見せてしまう」「わがままなAくんとは、付き合わせたくない」など。
 
自分の考えに合わない人に、親が心や関係性を閉ざしてしまう。その結果、子どももいろいろな子どもや大人に出会う機会が少なくなってしまいます。親自身も、信じられる人がいないと、不安や心配がおきたときに、相談できる相手がいなくなります。どんどんつらくなり、精神的に追い込まれてしまいかねないでしょう。

 

 

子どもは人に関わることで人間関係を学んでいる

頑なになりがちな大人と違って、子どもの考え方は意外と柔軟です。大人は例外を作ることで、わが家のルールが崩れてしまいそうな気がするものですが、子どもは「わが家はダメだけど、おばあちゃん家なら甘いお菓子を食べられる」と、区別して考えることができます。
 
親としては、ちょっとずるがしこい気がしてしまいますが、世の中に出れば、臨機応変や、相手によって対応を変える柔軟性はとても必要なことです。
 
子どもは親同士の関わりから、人間関係を学び取っていますし、自分の周りにいる子どもや大人との関わりの中で、人間関係を学んでいます。小学校の高学年以上くらいになれば、親が関わらないところで人間関係を自分で作っていきますが、小さな子どもの場合は、親の関わりの中だけで人間関係を学んでいくことになります。
 
だからこそ、親自身が、いろいろな子どもや大人とのつながりを作ってあげること、そして、いろいろな人がいつつも、ある程度安定した人間関係の中で、子どもを育んでいくことが大切です。

 

 

親が心を閉ざさずに、信頼できる人を見つける

ママが自分1人でどうにかしないといけないと思うと、子どもをゆったりと見るゆとりが、なくなってしまいます。子どもを他の子と比較し、違うところ、劣っているところを発見して、その理由を探し、自分の子育ての仕方に自信をなくしてしまうこともあるでしょう。
 
でも、信頼できる人が一緒にいると、心に余裕がうまれるものです。違う視点からアドバイスをしてくれたり、「そういうものだよ」「そんなこともあるよ」というひと言に、救われることもあるでしょう。親自身が、まず心地よい人間関係を見つけていきましょう。

大きな家族「社会」の中で子どもを育てる

現代の物差しは、成果、完成度、短時間、儲け……などでしょうか。でも、子育ては、そういう物差しがない世界です。
 
子ども自身が、自分のことを大切に思うことができて、感情を豊かに、好きなことに向かっていく力を持つことができたら二重丸。おおかた健康に育って、社会に送り出せれば、親として御の字でしょう。
 
日本ではそれぞれの家族の中で子どもを育てるのが当たり前ですが、養子縁組などの制度がある諸外国では、何家族かの中で子どもを育てるのが当たり前です。子育ては母親の仕事とか、核家族の中だけで育てるものという発想がありません。「子どもは社会の中で育てる」という考え方です。
 
親と子ども、1対1の子育てでは、子どもを叱った場合、子どもの逃げ場がなくなります。密室で、わが子を自分の思い通りに、親の分身のように育てることは、子ども自身が自分を表現できなくなり、ストレスがたまってしまうこともあります。
 
子どもを核家族の中だけで育てるよりも、子ども同士が複数で遊んだり、さまざまな大人に接することは、子どもの心の成長にもつながります。親自身も、他の家族の多様な子育ての方法を知ることになり、一通りではない子育てのヒントに気づくきっかけにもなるでしょう。

 

 

一番安心できる存在と、信頼できる人間関係

一番安心できる、親子や家族という太い絆を持っている関係性はとても大切で、それがあるからこそ、子どもは安心して、自分から何かにチャレンジしたり、外に向かう力が産まれます。
 
ただし、太い絆だけがあればいいということではなく、子どもをたくさんの信頼できる人間関係の中で育てることはとても重要です。
 
もちろん、誰とでも、できるだけたくさんの人と付き合えばいいということではありません。いつも不特定多数の中にいるようなオープンな環境は、精神的に安らぎませんから、核家族の単位よりも多くて、程良い広さの関係があると良いでしょう。
 
子どもは対人関係から学ぶ力、吸収力を持っています。赤ちゃんは、横にいる人がいつも泣いていたり怒っていると、そこから情緒を学び取っているそうです。そばにいる大人が、楽しげで、自己肯定感を持っていると、そこから子どももその感性を学び取っていきます。
 
家族の仲が悪いと、子どもはその関係性を学んでしまいます。もちろん、ママとパパでケンカしたり、いつでも笑顔というわけにはいかないでしょう。子どもを囲む人間関係の中でも、ちょっと怒りっぽいおじさんがいたりするかもしれませんね。
 
でも、いろいろな人間関係とつながっていれば、良い要因と悪い要因があった場合、良い要因が悪い要因をカバーしてくれるものです。子どもの周りにも、ママやパパに周りにも、プラスの人間関係をたくさん作っておきましょう。

 

人の関係の中にいると
子どもの良いところが見つかりやすい

いつも一緒にいる親は、子どもの悪いところに目がいきがち。でも、他の子どものいいところは目に付きやすいものです。公園や児童館、近所の人との関わりの中で、ある程度の関係性ができると、「いつも元気だね」「○○するなんて、やさしいね」などと、他の人が子どもの良いところを見つけてくれることも。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/高祖常子

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