「チャイルドマウス」を知って、誤飲を防ごう

赤ちゃんがハイハイを始めると、それまで何とも思っていなかった家の中のものが、急に「危険なもの」に見えてくることがあります。

床に落ちている小さなゴミ。

上の子が遊んでいたおもちゃ。

テーブルの上のペットボトルのキャップ。

バッグの中の薬やアクセサリー。

大人にとっては、「こんなものを口に入れるの?」と思うようなものでも、赤ちゃんは平気で手に取り、口に運びます。

そして、それは赤ちゃんにとっては決して「いたずら」ではありません。

赤ちゃんは、手にしたものを口に入れることで、その形や硬さ、感触などを確かめています。まだ「これは食べ物」「これはおもちゃ」「これは口に入れてはいけないもの」という区別ができない時期だからです。

だからこそ、誤飲を防ぐために大切なのは、

「赤ちゃんに口に入れないように教えること」

ではありません。

「赤ちゃんの口に入ってしまうものを、そもそも手の届くところに置かないこと」

です。

そこで、ぜひ知っておいてほしいのが「チャイルドマウス」という考え方です。

「チャイルドマウス」って知っていますか?

「チャイルドマウス」という言葉を聞いたことがありますか?

チャイルドマウスは、乳幼児の誤飲を防ぐための目安となるものです。

多摩市の公式ホームページでは、乳幼児が口を大きく開けたときの目安を直径約39mm、口からのどの奥までの長さを約51mmとしています。

つまり、まず覚えてほしい数字は、

39mm

です。

「39mm」と言われても、実際にはどのくらいの大きさなのか、なかなかイメージしにくいですよね。

家庭では、トイレットペーパーやラップの芯などを使って、おおよその大きさを確認することもできます。

一度、この「39mm」という大きさを実際に目で見てみてください。

きっと、

「えっ、こんなに大きいものまで?」

と思われるのではないでしょうか。

そして家の中を見回すと、

「これも入るかもしれない」

「これも危ないかもしれない」

と、今までとは違う視点で見えてくるはずです。

39mmは「絶対安全・絶対危険」の境界線ではありません

ここは大切なので、最初にお伝えしておきます。

39mmという数字は、絶対的な安全ラインではありません。

「39mmより大きければ絶対に安全」という意味でも、「39mm以下なら必ず飲み込む」という意味でもありません。

乳幼児の口に入る可能性を考えるための、事故予防上の目安です。

39mm×51mmの楕円形に入る大きさのものは、赤ちゃんの手の届くところに置かないことが大原則とされています。例えば、トイレットペーパーの芯(穴の直径が約39mm)を通るような小さなおもちゃは、乳幼児には与えないことがすすめられています。

ですから、

「39mmより1mm大きいから大丈夫」

と考えるのではなく、

「このくらいの大きさのものは、赤ちゃんの口に入ってしまう可能性がある」

という感覚を持っていただければ十分です。

赤ちゃんは「これは何?」と思ったら、まず口で確認

小児科医として子どもたちを診ていると、赤ちゃんの「何でも口に入れる」という行動は、本当に自然な発達の一部なのだと感じます。

そして、母親として子育てをしてみると、そのことをさらに実感しました。

赤ちゃんは、床に落ちているものを見つけるのがとても上手です。

大人なら気づかないような小さなものを、なぜか見つける。

そして、拾う。

口に入れる。

その一連の動きが、とても速いのです。

「そんな小さなもの、見つけるんだ」

と驚かされることもあります。

だからこそ、

「うちの子はまだ歩けないから大丈夫」

「まだ手が届かないから大丈夫」

という判断は、少し注意が必要です。

赤ちゃんの発達は、本当に早いものです。

昨日まで寝返りだけだったのに、今日はずりばいをしている。

昨日まで届かなかったテーブルに、今日は手が届く。

昨日まで開けられなかった引き出しを、今日は開けている。

「昨日まで大丈夫だった」は、「今日も大丈夫」とは限りません。

「赤ちゃん 誤飲 サイズ」で検索する前に知ってほしい39mm

「赤ちゃん 誤飲 サイズ」と検索すると、さまざまな情報が出てきます。

まず、家庭で覚えておいてほしい目安の一つが、直径約39mmです。

実際、育児雑誌などでは「39mm×51mm以下の小さなおもちゃ」を赤ちゃんの手の届かないところへ置くよう紹介されています。

また、赤ちゃんが小さなものを口に入れること自体は、発達の過程として自然な行動です。

だから、

「どうして口に入れちゃうの?」

と赤ちゃんを責めることはできません。

むしろ、大人が環境を変える必要があります。

赤ちゃんが口に入れてしまうことを前提に、家の中を整える。

これが誤飲予防の基本です。

家の中には「39mm以下」が意外とたくさんある

では、実際にどんなものが危険なのでしょうか。

代表的なものとして、

・小さなおもちゃ
・おもちゃの部品
・ブロック
・ビー玉
・硬貨
・ペットボトルのキャップ
・ボタン電池
・磁石
・アクセサリー
・ピアス
・ヘアゴム
・薬
・クリップ
・文房具

などがあります。

もちろん、ここに挙げたものがすべて同じ危険性というわけではありません。

大きさだけでなく、形、材質、尖っているかどうか、電池や磁石など特殊な性質を持つものかどうかによって、危険度や対応は変わります。

たとえば、ボタン電池や磁石は特に注意が必要です。

小児科オンラインジャーナルでは、誤飲した異物の多くは胃腸を傷つけずに通過し、消化されないまま便と一緒に出てくる一方、食道につかえる大きさのもの、尖ったもの、ボタン電池や磁石などは速やかな医療機関での対応が必要になる場合があると説明しています。

つまり、

「小さいから大丈夫」ではない

のです。

兄弟がいる家庭では、さらに注意が必要

そして、兄弟がいるご家庭には、ぜひお伝えしたいことがあります。

それは、

「上の子にとって安全なものが、下の子にとっては危険なものになる」

ということです。

これは私自身の子育てでも、かなり実感しました。

我が家は3歳差の兄弟でした。

長男が遊んでいたLEGOブロックが、次男にとっては誤飲の危険があるもの。

長男には普通のおもちゃでも、まだ何でも口に入れてしまう次男にとっては、床に落ちている小さくてカラフルなブロックは、とても気になる存在です。

もしかすると、赤ちゃんからすると、あのカラフルなブロックはお菓子のように見えるのかもしれません。

当時の私はかなりピリピリしていて、長男がブロックで遊んだ後には、床に小さなパーツが残っていないか、必死に探していました。

「ちゃんと片付けてね!」

「残ってない?」

と、何度言ったか分かりません。

今振り返っても、3歳差の兄弟では、上の子のおもちゃが下の子にとって危険になる時期が確かにありました。

兄弟がいる家庭では、

「上の子が遊ぶ場所を分ける」

「遊び終わったら必ず片付ける」

「小さなパーツのあるおもちゃは、大人が見ているときに遊ぶ」

など、家庭に合ったルールを決めておくとよいでしょう。

上の子から大切なおもちゃを取り上げる必要はありません。

ただ、

「これは上の子には安全。でも、下の子には危険かもしれない」

という視点を持つことが大切です。

「ちょっと目を離しただけ」が事故につながる

誤飲事故の怖いところは、ほんの短い時間でも起こり得ることです。

「さっきまで見ていたのに」

「ほんの数分、目を離しただけなのに」

ということがあります。

赤ちゃんのお世話をしながら、ずっと赤ちゃんだけを見ていることはできません。

料理もします。

洗濯もします。

トイレにも行きます。

上の子のお世話もあります。

仕事をしているお母さんもいます。

だからこそ、私は保護者の方に、

「もっとしっかり見ていてください」

とだけ言いたくはありません。

もちろん見守りは大切です。

でも、見守りだけでは限界があります。

だから、

「見ていない時間があっても事故が起こりにくい環境にしておく」

ことが大切なのです。

「誤飲」と「誤嚥」は違います

ここで、「誤飲」と「誤嚥」の違いについても簡単に説明しておきましょう。

誤飲とは、食べ物ではないものを誤って飲み込み、胃の中に入ってしまうことです。

一方、誤嚥は、口に入れたものが食道ではなく、空気の通り道である気道に入ってしまうことをいいます。

特に怖いのが誤嚥です。

気道に異物が入り、気道をふさいでしまうと、窒息につながる可能性があります。

だから、

「飲み込んでも、ウンチに出れば大丈夫」

と単純に考えることはできません。

口に入ったものが、食道へ行くのか、気道へ行くのか。

それは大人が見ていても判断できないことがあります。

だからこそ、

「口に入ってからどうするか」より、「口に入れない環境を作る」ことが最も大切

なのです。

長男は「紙」が好きでした

我が家にはもう一つ、今でも覚えている出来事があります。

長男は、なぜか紙が好きな子でした。

特に雑誌をよく口に入れていたのですが、私はその瞬間に気づいていないこともありました。

あるとき、なんだかカラフルなウンチが出てきて、

「えっ、何これ?」

と驚いたことがあります。

後から考えて、

「ああ、雑誌を食べていたからか!」

と気づきました。

当時は毎回のようにカラフルなウンチが出てきて、母親としてかなり驚かされたものです。

今となっては笑い話ですが、子どもは本当に大人が想像もしないものを口に入れます。

ただし、ここで大切なのは、

「飲み込んだものはウンチに出てくるから大丈夫」ではない

ということです。

小児科オンラインジャーナルによれば、子どもが誤飲した異物の多くは、胃腸を傷つけることなく通過して、便と一緒に排出されます。

しかし、すべての異物がそうとは限りません。

食道につかえる大きさのもの、尖ったもの、ボタン電池や磁石など、医療機関で早めの対応が必要なものもあります。

そのため、「何mmなら便に出る」という数字だけで判断することはできません。

誤飲したものの種類や形状、どこにあるかなどによって対応は変わります。

特に注意したい「ボタン電池」と「磁石」

誤飲の話をするとき、ボタン電池と磁石については、ぜひ知っておいてほしいと思います。

どちらも小さく、赤ちゃんの口に入ってしまいやすいものです。

しかし、単なる小さなおもちゃとは違います。

ボタン電池は、食道などにとどまることで周囲の組織を傷つける可能性があります。

また、磁石を複数個飲み込むと、消化管の中で磁石同士が引き合い、腸管を挟み込んでしまうことがあります。

実際に、磁石の誤飲によって消化管に穴が開く重症例も報告されています。

そのため、

「小さいものだから、そのうち出るだろう」

という判断は危険な場合があります。

もし、

「何を飲み込んだのか分からない」

「ボタン電池や磁石を飲み込んだ可能性がある」

「尖ったものを飲み込んだかもしれない」

という場合には、自己判断で様子をみず、医療機関などに相談してください。

誤飲したものと同じものが手元にあれば、受診時に持参すると、診療の助けになることがあります。

「吐かせればいい」とは限りません

誤飲したことに気づくと、

「吐かせたほうがいいのでは?」

と考える方もいると思います。

しかし、誤飲したものによっては、無理に吐かせることが危険な場合があります。食道に入っていた異物が、吐かせる処置で誤って気道に入ると呼吸ができなくなるとさらに一刻を争う危険な状況となります。

特に尖ったものが食道を傷つけるリスクもあります。

また、誤飲したものによって対応が異なるため、「とりあえず吐かせる」という一律の対応はできません。

誤飲したものが何なのか。

いつ飲み込んだ可能性があるのか。

どのくらいの量なのか。

子どもに症状があるのか。

こうした情報が重要になります。

誤飲してしまったかもしれないときは、まず落ち着いて

では、実際に「今、何かを口に入れたかもしれない」と気づいたら、どうすればよいのでしょうか。

まず大切なのは、慌てずに、何を口に入れたのかを確認することです。

子どもの口の中にまだ異物が見えていて、簡単に取り出せる場合は取り出します。ただし、指を無理に入れて探したり、見えないものを手探りで取り出そうとしたりするのは避けましょう。

そして、

「何を飲み込んだのか」

「いつ頃なのか」

「どのくらいの量なのか」

を確認します。

同じものが残っていれば、それを手元に置いておくと、医療機関に相談するときに役立ちます。

また、子どもの様子もよく見てください。

呼吸が苦しそうではないか。

激しく咳き込んでいないか。

よだれが増えていないか。

吐いていないか。

顔色がおかしくないか。

食事や水分を飲み込めているか。

こうした様子を確認します。

特に、呼吸が苦しそう、激しく咳き込む、顔色が悪い、意識がおかしいなど、窒息が疑われる場合は、誤飲したものが何かを確認することよりも、まず救命処置が優先されます。

また、ボタン電池、磁石、尖ったものなどを飲み込んだ可能性がある場合は、症状がなくても「そのうちウンチに出るだろう」と自己判断せず、早めに医療機関へ相談してください。

そして、誤飲したものが分からない場合も、分からないまま放置しないことが大切です。

「何を飲んだか分からないけれど、今は元気そうだから大丈夫」

とは限りません。

誤飲は、飲み込んだ直後には症状がないこともあります。

だからこそ、「何を飲み込んだ可能性があるのか」をできるだけ確認し、必要であれば医療機関や専門機関に相談する。小児科オンライン相談も是非利用してください。

誤飲したときに一番大切なのは、「親が完璧に判断すること」ではありません。

迷ったら相談すること。

そして、次に同じことが起こらないように、誤飲につながったものを赤ちゃんの手の届かない場所へ移すことです。

誤飲事故は、起きてしまった後の対応も大切ですが、本当に大切なのは、その次の事故を防ぐこと。

「なぜ口に入ったのか」を一度家の中で考えてみると、そこから新しい安全対策が始まります。

誤飲予防は「床をきれいにする」だけではありません

誤飲予防というと、

「床に物を置かない」

ということをまず思い浮かべる方が多いでしょう。

もちろん、それはとても大切です。

でも、もう一歩進んで、

「赤ちゃんの目線で家を見る」

ことをおすすめします。

一度、床に座ってみてください。

赤ちゃんと同じくらいの目線になって、部屋を見渡します。

すると、

ソファの下。

テレビ台の下。

家具の隙間。

テーブルの脚の周り。

兄弟のおもちゃ。

バッグの中。

化粧ポーチ。

薬の入った引き出し。

など、大人の目線では気づかなかったものが見えてきます。

赤ちゃんは、床に落ちた小さなものだけでなく、引き出しやバッグの中にも手を伸ばします。

はいはいを始めれば、行動範囲はどんどん広がります。

つかまり立ちを始めれば、さらに高い場所に手が届くようになります。

だから、安全対策は一度やったら終わりではありません。

赤ちゃんの成長に合わせて、家の中も更新していく。

これが大切です。

「床から1m以上」という目安

多摩市の公式ホームページのチャイルドマウスの項目では、39mmより小さい危険なものは、床から1mより上に置き、子どもの手が届かないようにすることがすすめられています。

ただし、これも「1mあれば絶対安全」という意味ではありません。

赤ちゃんは成長すると、台につかまったり、椅子によじ登ったりするようになります。

ですから、

「今、手が届かない場所」

ではなく、

「赤ちゃんが自分で取れない場所」

を考えることが大切です。

薬なら、赤ちゃんが開けられない場所へ。

ボタン電池や磁石なら、しっかり管理する。

小さなおもちゃなら、赤ちゃんが入ってこない場所で遊ぶ。

兄弟のおもちゃなら、遊び終わったら片付ける。

こうした工夫を組み合わせていきましょう。

バッグの中も、意外な盲点です

誤飲予防というと、おもちゃや床ばかりに目が行きます。

でも、意外と見落としやすいのが「バッグ」です。

お母さんのバッグの中には、

財布。

薬。

飴。

アクセサリー。

ペン。

リップ。

小さなケース。

など、赤ちゃんの口に入る可能性があるものがたくさん入っています。

赤ちゃんがバッグを見つけると、中身を全部出そうとすることがあります。

「バッグは高いところに置いているから大丈夫」

と思っていても、赤ちゃんは昨日まで届かなかったところに、今日突然手が届くことがあります。

バッグは床に置きっぱなしにしない。

帰宅したら、赤ちゃんの手の届かない場所に置く。

薬や小さなものはバッグに入れたままにしない。

こうした小さな習慣も、事故予防になります。

上の子に「ダメ!」だけを伝えない

兄弟がいる家庭では、上の子にも協力してもらう必要があります。

ただ、

「それ、危ないから触らないで!」

と怒るだけでは、上の子も納得しにくいでしょう。

「これは弟・妹が口に入れると危ないから、遊び終わったらここに片付けよう」

と、理由を伝えることも大切です。

そして、小さなパーツのあるおもちゃは、

「弟・妹が触らない場所で遊ぶ」

というルールにしてもよいでしょう。

上の子にとっては、自分のおもちゃを自由に遊びたい気持ちがあります。

その気持ちも大切にしながら、

「赤ちゃんには危ないものがある」

ということを家族で共有していきます。

誤飲を「親の注意不足」にしない

誤飲事故が起こると、

「私がちゃんと見ていなかったから」

と、自分を責めてしまうお母さんがいます。

でも、赤ちゃんが小さなものを口に入れること自体は、発達上自然な行動です。

大人がどれだけ気をつけていても、家庭の中からすべての小さなものをなくすことはできません。

だからこそ、

「もっとちゃんと見なければ」

と自分を責めるのではなく、

「事故が起こりにくい環境を作ろう」

と考えてほしいと思います。

これは、母親として子育てをしてきた私自身にも言いたいことです。

赤ちゃんを24時間見張り続けることなんて、できません。

家事もあります。

仕事もあります。

上の子のお世話もあります。

だからこそ、

「親が頑張り続けなくても、安全な環境」

を作ることが大切なのです。

39mmを「数字」ではなく「感覚」で覚える

「39mm」という数字だけ覚えても、実際の生活では使いにくいかもしれません。

そこで、一度実際に確認してみてください。

トイレットペーパーの芯などを使って、

「この中に入ってしまうものはないかな?」

と家の中を見てみる。

小さなおもちゃ。

ブロック。

キャップ。

電池。

アクセサリー。

文房具。

いろいろなものを試してみると、

「こんなものまで?」

と驚くかもしれません。

多くの自治体でも、チャイルドマウスと同じ大きさの穴が開いた母子健康手帳のページを利用して、家庭で確認することをすすめています。

そして、家族みんなで、

「この大きさは赤ちゃんには危ない」

という共通認識を持っておく。

これが大切です。

「うちの子は、あまり口に入れないから大丈夫」は要注意

「うちの子は、あまり物を口に入れないタイプだから大丈夫」

ということもあるでしょう。

もちろん、物を口に入れる頻度には個人差があります。

でも、赤ちゃんの発達は変化します。

今まであまり口に入れなかった子が、急に何でも口に入れるようになることもあります。

また、はいはいを始めたことで、行動範囲が一気に広がることもあります。

つかまり立ちを始めれば、今まで手が届かなかった場所に手が届きます。

だからこそ、

「今は大丈夫」ではなく、「次に何ができるようになるか」

を考えて、安全対策を先回りしておくことをおすすめします。

今日、家の中でチェックしてほしい5つの場所

最後に、今日からできる誤飲チェックをまとめます。

① 床

まずは床です。

小さなものが落ちていないか確認してください。

特に、

・硬貨
・電池
・小さなおもちゃ
・ブロック
・アクセサリー
・薬

などです。

② ソファの下・家具の隙間

大人から見えない場所に、小さなものが入り込んでいないか確認します。

特に兄弟がいる家庭では、上の子のおもちゃのパーツが残っていないかをチェックしてください。

③ バッグ

バッグの中には、赤ちゃんの口に入るものがたくさんあります。

床やソファの上に置きっぱなしにしないようにしましょう。

④ 兄弟のおもちゃ

LEGOや小さなブロック、細かなパーツがあるおもちゃは特に注意。

赤ちゃんがいる場所では遊ばない、遊んだら必ず片付けるなど、家庭でルールを作りましょう。

⑤ 電池と磁石

ボタン電池や小さな磁石は、特に注意が必要です。

「小さいものだから、そのうち出る」と考えず、赤ちゃんの手の届かない場所に確実に保管してください。

そして、39mmを家族の共通言語に

誤飲予防は、お母さん一人が頑張るものではありません。

お父さん。

上の子。

祖父母。

赤ちゃんのお世話をしてくれる人。

家族みんなで、

「赤ちゃんの口に入る大きさって、これくらいなんだよ」

と共有しておくことが大切です。

特に祖父母など、久しぶりに赤ちゃんと過ごす人には、

「これくらいなら大丈夫」

という大人の感覚ではなく、

「赤ちゃんの口に入る大きさかどうか」

で判断してもらうことが重要です。

母親として、小児科医として伝えたいこと

小児科医として子どもたちを診ていると、本当にいろいろな誤飲の相談があります。

そして、母親として子育てをしてみると、

「ずっと見ている」

ことがどれほど難しいことなのかを実感します。

私自身も、3歳差の兄弟を育てる中で、長男のレゴブロックに神経質になったり、長男が雑誌を食べていることに気づかず、後からカラフルなウンチに驚いたりしました。

今となっては笑える思い出ですが、その経験があるからこそ、私は「誤飲に気をつけてください」という言葉だけではなく、

「どうしたら、親がずっと見張っていなくても事故を防ぎやすくなるか」

を伝えたいと思っています。

赤ちゃんは、何でも口に入れます。

それは、赤ちゃんが悪いのではありません。

それが発達の一部だからです。

だから、大人が環境を変える。

そのための、とても分かりやすい目安が、

39mm

です。

「誤飲してから」ではなく「誤飲する前」に

「赤ちゃん 誤飲 うんちに出る 大きさ」と検索したくなる気持ちは、私自身も母親としてよく分かります。

「飲み込んじゃったけど、大丈夫かな?」

「そのうちウンチに出るのかな?」

と心配になりますよね。

実際に、多くの異物は胃腸を通過して便とともに排出されます。

でも、すべてがそうとは限りません。

ボタン電池や磁石、尖ったものなど、早急な対応が必要になる異物もあります。

だからこそ、誤飲してから、

「どうしよう?」

と考えるよりも、

誤飲する前に、口に入るものを置かない。

これが一番大切です。

39mmを知るだけで、家の中の見え方が変わる

「チャイルドマウス」という言葉を知らなかった方も、今日からはぜひ覚えておいてください。

乳幼児の口の大きさの目安は約39mm。

口からのどの奥までの長さは約51mm。

この数字を知っているだけで、家の中を見る視点が変わります。

床に落ちているものを見て、

「これは39mmの中に入るかな?」

と考える。

上の子のおもちゃを見て、

「これは赤ちゃんには危なくないかな?」

と考える。

バッグの中を見て、

「ここに小さなものは入っていないかな?」

と考える。

それだけでも、誤飲事故を防ぐための大きな一歩になります。

赤ちゃんを守るのは、「見張ること」だけではない

子育てをしていると、

「ちゃんと見ていなきゃ」

「事故を起こさないようにしなきゃ」

と、どうしても親自身に責任を背負わせてしまいがちです。

でも、赤ちゃんを24時間見張り続けることはできません。

だからこそ、

「見張る」だけではなく、「危険なものを置かない」

という環境づくりをしてほしいと思います。

赤ちゃんが口に入れるかもしれないものを、手の届かない場所へ。

兄弟のおもちゃは、遊ぶ場所を分ける。

小さなパーツは、遊び終わったら片付ける。

ボタン電池や磁石は、確実に管理する。

バッグや薬も、赤ちゃんの手が届かないところへ。

そして、ときどき赤ちゃんの目線になって、家の中を見渡してみる。

赤ちゃんは、昨日できなかったことが、今日できるようになります。

だから、安全対策も一度やったら終わりではありません。

赤ちゃんの成長に合わせて、家の中の安全も少しずつ変えていきましょう。

おわりに

誤飲を完全になくすことは、簡単ではありません。

でも、誤飲事故は、環境を整えることで防げる可能性があります。

まずは、

「赤ちゃんの口に入る大きさは約39mm」

ということを知ってください。

そして今日、一度だけでいいので、赤ちゃんの目線までしゃがんで、家の中を見渡してみてください。

床に何か落ちていませんか?

ソファの下に小さなおもちゃはありませんか?

上の子のおもちゃが出しっぱなしになっていませんか?

バッグの中に、赤ちゃんが口に入れそうなものはありませんか?

ボタン電池や磁石は安全に管理されていますか?

「こんなものまで?」と思うものが、意外とたくさん見つかるかもしれません。

そして、39mmという大きさを、家族みんなの共通認識にしてみてください。

赤ちゃんに、

「これは口に入れちゃダメ」

と教えることには限界があります。

だからこそ、

「口に入ってしまうものを、赤ちゃんの前に置かない」

こと。

それが、誤飲を防ぐための一番シンプルな方法です。

母親として、そして小児科医として、私はこのことをぜひ知っておいてほしいと思っています。

赤ちゃんの口に入る大きさは、約39mm。

この数字を知ることから、今日の誤飲予防を始めてみませんか。