2009/3/12

オバマ大統領に期待すること

オバマ大統領が誕生しておよそ3ヶ月になります。
リーマンブラザーズに始まった経済恐慌で、失業者が増加、退職した人たちが投資していた個人年金は、株の暴落で価値が下がり老後を脅かしています。オバマ氏は世間の不安が高まる中で始まった新大統領だけに、国民の期待が一心に注がれているのと同時に、厳しいスタートとなりました。

オバマ大統領の演説には定評があり、また国民の目線に立っているだけに説得力があります。公的資金による救済を求めた自動車業界のトップが、自家用ジェットで公聴会に駆けつけたことに対して非難が広がった時、また同じく金融業界が救済を受けた直後に信じられない額のボーナスを受け取っていることが公になった時も、大統領は臆せずにそのトップたちに襟を正すよう表明しています。物事を曖昧にしないこと、大切ですよね。

大統領が選挙期間中に公約したことのひとつが、国民全員が医療保険に加入できるようにすること。つい先日、政府は10年計画で医療制度の改革を行うことを発表しました。民間医療保険はすさまじい速度で値上がりしています。例えば夫が教育委員会から加入している保険は、4人家族で1ヶ月1,500ドル(約15万円)です。約9割を教育委員会が負担しているのですが、毎月1,500ドルを自分たちで支払うことは到底不可能です。高額な医療保険に加入せず、何かあったらER(救急医療)にかかるか医者に行けずにいる、保険未加入者を救済することが大統領の目標です。高額所得者の増税と公的医療のコスト削減分をこの改革に当て込むのだそうです。

更に公約のひとつであるイラクからの米兵撤退を、来年の8月末までに行うことも公言しています。議会演説や大統領就任演説の中でも「イラク撤退」「イラク戦争で膨らんだ負債を圧縮する」と反戦の姿勢で話していたことを実現し始めたのです。

アメリカの景気回復は年末以降に始まるだろうとの予測です。世界大恐慌に次ぐと言われているこの不景気が簡単に回復するとは期待できませんが、オバマ大統領が、誠実に、公約の実現と景気の回復に向けて取り組んでいくことを切に願っています。

アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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