2008/11/27

「Yes, we can!」と「Yes, we did!」-part2

数年に一度ある選挙では、議員や市長などの政治に係わる投票に加えて、法案も含まれています。(臨時法案に関する投票も不定期に行われます。)
今回の法案には、司法の分野で、特定の犯罪に係わった者には最低限の実刑が課されるべきかどうか、州税に関しては、宝くじから得る税収入の15%を犯罪防止と捜査に使うかどうかなどがありました。

私の勤めるコミュニティカレッジは今年創立50周年を迎えました。校舎は1940年建立で、ボイラーを修理するにも、古い型の部品を特注しないといけないほど建物と設備の老朽化が進んでいます。また、教育庁からはもっと生徒に便宜を図った施設の充実を、という訓告もあったほどです。念願の新改築プランができ上がったものの、公立の学校が大規模な建築工事にすんなりと取り組む予算はなく、教育に協力的な財団からの寄付で何とか開始にこぎつけたところです。

そのような事情から今回、コミカレの役員が中心となり支持者を集め、校舎の新改築のために固定資産税から5億円を捻出するかどうか、の法案を投げかけたのです。わかり易く説明すると、もしこの郡で1500万円相当の家を持っていたら、今後21年間、年間1050円の税金を余分に納めることに同意しますか?というものです。支持者は、バーベキューパーティを開いて一般市民に説明会を開いたり、新聞に広告を出し続けました。公務員である職員は選挙活動に参加できないので、新聞の投書欄に大学の現状と教育の大切さを訴えてきました。地元新聞も支持者の声を反映して、応援してくれました。

結果は法案成立。郡の半数以上の支持を得て、大学は建設資金を得ることになりました。例えば、もし私が勤めていなくても、郡に唯一あるコミカレの充実を願うと思うのです。大学の施設や授業が充実していたら、この町の学生は留まり、近隣都市の学生が集まり、町のビジネスも潤うはず。何より未来を背負う子供たちのために教育機関を充実させるのは、大人の義務ではないでしょうか。「コーヒーショップで買うコーヒー5杯分がこの町の大切なものを救うと考えてください」と訴えたインストラクターの投書がとても印象的でした。

投票権のない私は願うことしかできませんでしたが、この法案の成立に心から嬉しく思っています。

アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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