2005/1/13

突然の悲しいできごと

カレンダーは変わりましたが、新しい年が来た、という実感がわきません。

実は、夫の父が突然亡くなり、クリスマスに家族4人で夫の故郷に帰ってきました。初めての我が家でのクリスマスは、静かに家で過ごす計画だったのですが、突然の出来事に、心理的にも物理的にも一転してしまいました。

アメリカの葬儀は、日本のそれと比べてかしこまらずに、また「悲しい」だけの感情ではなく、亡くなった人がどんなに素晴らしい人生を送ったか、思い出話をする場のように思います。義父の葬儀は、夫の同級生の牧師による、時には笑い声さえ聞こえるものでした。

米海軍の一員として、2つの大きな戦争に出兵した義父には、埋葬の際に退役軍人の最後を飾る儀式がありました。現役の海軍兵士と退役軍人の同席のもと、棺にはアメリカ国旗がかけられました。その国旗は、海軍兵士によって「米国大統領の代理として、米海軍に仕えて頂いたことを感謝します」という言葉と共に、家族に渡されました。国旗は、同じく軍人として現在イラクに駐在している孫娘に引き継がれることになっています。冷たく乾燥した空気に退役軍人の放つ発砲の音が響きわたり、兵士たちの凛々しい制服姿にあいまって、私の心に悲しみがぐっと押し寄せてきました。

不思議なことに、この儀式のあとは、義父の家に出向き、淡々と家の片付け作業ができるようになりました。心にけじめをつけることができたのかもしれません。

また、長男は、しばらくの間、ロケットに乗って天使になった義父と義母に会いに行く、と言っていましたが、おさないながらも、この話題は夫と私の気持ちを混乱させるとわかっているのでしょうか、最近はあまり口に出さないようになりました。

夫が言う「これで帰省する意味がなくなった」という言葉が、ずっしりと重く感じられます。

義父の冥福を祈りつつ。


アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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