2003/9/25

鹿

スーパーでリンゴを買う時、息子は必ず「よっつかってよね」とせがみます。自分の年の数だけというわけではなく、「パパとママとボクとシカ」が食べるから、なのです。

我が家は緑が生い茂る森と小川の間にあり、庭は野生の鹿の通り道になっています。母鹿とまだ背中に白い斑点が残る双子の小鹿が、ぴょんぴょんと飛ぶように走っていく姿が最初は珍しく、ちょっと痛んだリンゴを庭に数回投げたところ、鹿から「親鹿家」(!)と思われたのでしょうか。私たち親子3人が庭にいても、鹿の親子はのんびりと芝を食みながら通っていくこともあります。
それに、森にはブラックベリーなど彼らの好物がたくさんあるはずなのに、うちの庭を通る時は、私の育てているガーベラを遠慮なく食べていきます。ついこの間はその花を食べ尽くし、葉っぱもきれいにトリミングして行きました。気がつけば花から追い払いますが、知らない間に遊びに来られると、どうしようもありません。
うちのお隣は、それは丹精に庭の手入れをしているので、鹿がバラのつぼみや花々を失敬するのが許せないらしく、彼らの姿を見るや、手を叩いたり、スリングショット(パチンコ)を使って脅しをかけています。ついでに、お隣のおばあちゃんはカラスのために庭に餌を用意していて、それを鳩がついばみに来ると、ものすごく怒っています。ちょっとユニークですよね。

また、前の道路は「鹿注意」の標識を出してもおかしくないほど、鹿が横断するし、しかも25マイル制限にも関わらず、車は結構なスピードで通ります。鹿を見かけたら大きなクラクションを鳴らし、威嚇しながら通る車も少なくありません。不幸にも跳ねられる鹿もかわいそうですが、避けようがなく跳ねる車もかなりのダメージを受けることになるので、事故が起これば大変です。

懐かしいのは、修学旅行で訪れた奈良公園。ここの鹿は神鹿として保護されているんですよね。とても人馴れしていて、確か鹿に追いかけられた友達もいたように覚えています。

問題のリンゴ。息子のやさしい気持ちを傷つけたくないので、いつも4つ買っています。でも残念ながら、鹿に与えることは無くなりました。


アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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