2002/12/12

事件発生

夕方、息子は遅い昼寝中。わたしは夕食の準備に、さあ取り掛かろうとしていたところに、サイレンが鳴り始めました。小さな町なので救急車や消防車の音はよく聞こえるのです。でも何だかとても近い。それに鳴り止んだと思ったら次々とハモるように聞こえ始め、こちらに向かっているように思えます。
「えっ?火事?匂わないぞ。」
リビングから外を覗くと、学校帰りの子供たちが立ち止まって、うちから何軒か先を見ています。通る車も徐行していますが、煙はあがっていません。

息子に救急車を見せてやろう、というのはわたしの野次馬心の口実。ねぼけまなこの息子を抱き上げ、外にでました。
「ひえっ〜!」思わず息を呑みました。
パトカーが10台以上、うちから3軒先の家の前に道を塞ぐ形で止まっています。町中の市警と保安官が集まってきたかのようです。近所の人たちも出てきて、様子を見ています。
「男が隠れるところを見てないですかっ!」警官が叫びました。彼の手は腰の銃にかかっています。「塀と車庫の間よ!」即座に応えたおばちゃんは、たまたまその様子を見ていたのでしょう。

こんなところでぼんやり見てる場合じゃないかもねえ、とのんびり言う隣のおばあちゃんも、飽きてしまって「おうちに入ろうよ」という息子を抱っこしているわたしも、ことの成り行きが気になってその場を離れられずにいます。
10分もかかったでしょうか、二人の警官に脇を固められ、男が出てきました。後ろ手に手錠。
そして、その人は、散歩で合うと愛想よく手を振ったり、声をかけてくれる3軒先の住人でした。

後日、ドラッグ(違法薬物)の関係だったらしいと聞き、唖然。
我が家は、町にひとつしかない中学まで歩いて10分とかからない、静かな住宅街にあります。子供たちも歩いて通学するその道沿いで、なんてこと。
逮捕劇の興奮とは別に、ドラッグの問題が近所で起こっていたことに、とても恐ろしくなりました。

小さな平和な町だから、と気がゆるんでいたところに、「ここはアメリカ」とあらためて思い知らされました。


アメリカからのこそだて奮闘記


日本で大手企業の広報課長を務めているときに、アメリカ人の英会話教室の先生と結婚、渡米。日米の文化の違いに悩まされながら、子育てに奮闘中。

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