2000/09/08更新
今日のエッセイ
拾得物届け

家に帰ると、テーブルの上に「拾得物預かり書」という、 茶色の書類が置かれていた。
なんでも娘がお金を拾って、交番に届けたらしい。
ほう、感心・感心、とその書類をよく見ると、 届けたのは何と、1円。

交番のお巡りさんも困っただろう。
1円だからといって、無下な対応もできないだろうし、
何よりも届けた本人は、1円だって大切なお金だと思って、交番へ届けているのだ。

お巡りさんの人件費と、書類の原価を考えると、 書類作成に要した総コストは、
恐らくその数百倍は下らない。
最近は警察の不祥事や何かで、お巡りさんへの風当たりは強い。
だから、1円といえども対応をきちんとしなければ、と思ったのだろうか。

いや、そうではないだろう。
庭や学校で教えられる道徳教育。
それを机上の空論・理想論として終わらせることなく子供達に理解させる。
それは、学校や家庭という限られた世界ではなく、
地域社会全体が、それを受け入れ裏表なく対応する。
それが、子ども達にとっての教育として大切なのだろう。

1円を届けた娘に、金額の多寡に関係なく対応していただいた
交番のお巡りさんに、 感謝したい。

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