2000/08/27更新
今日のエッセイ
夏休みの思い出と妻の涙

とうとう、彼女の堪忍袋の緒が切れた。
日焼けした顔で帰宅したら、彼女が「話がある」、と言いだした。
心の中では、「プロ野球の試合結果はどうだったんだろう」 と思いながらも、
改まって切り出されると、聞かないわけにも行かない。
顔を見ると、目に涙が。
「うっ、まずい。こんな時にはだいたい一方的に攻められるパターンだ」
と思ったが、もう遅い。
30分ほど、何の言い訳もできずに、ただじっと話を聞いた。
結構こたえた。

「日焼けするだけ遊ぶ時間があるのなら、子供たちの相手をしてやってほしい」
ただそれだけで攻められるのなら、
「てやんでい、男にはなあ…………」 と言い返せた。
しかし、長男が保育園で、夏休みの思い出を絵に描かされたそうで、
その時何も描けなかったというのである。
「だってお父さん、夏休みもなかったし、何処にも行ってないモン」と。

お盆の時期には、保育園に、園児は4〜5人しか居なかったそうだ。
寂しいからと言って、登園させなかったお母さんも居た。
お盆の時期は、うちの兄妹が全園児の、何割かを占めていたのかも知れない。

あれから、3年経った今年。
遠くには連れていけなかったけれど、海と山には行った。
それに、「僕の夏休み」もやったぞ。
少しはお父さんも成長したかな?

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