2000/08/14更新
今日のエッセイ
カナとミンとワシとの夏

カナと出会ったのは、キャンプに出かけた、山の、渓流の近くだった。
日が西に傾き、そろそろ引き上げようか、という頃合いだった。

今まで、渓流の水の音と、周囲のキャンパーの騒ぎ声で、
周囲の様子は気にしていなかった。
人の数が減り、高揚していた気分も落ち着き、杜の方へ目を向けたときに、
杜の中から、聞こえてくるその声に気がついた。
ミンとの出会いは、僕が就職で東京に出た年。8月の暑い日の、日比谷公園で。

最初の印象は、「ワシに似てるけど、少し小さいな」、という感じだった。
ワシとのつき合いは、もう古い。
物心ついた頃には、もう、そばにいた。
とにかくうるさい奴で、
部屋で泣かれたりした日には、何かをぶつけてやりたいくらいに、騒がしかった。
毎年、カナ・ミン・ワシとは、夏休みに欠かさず会っていた。
最近、ミンとは会えていないけれども、カナ・ワシとは良く会っている。
お盆が終ると、すぐツックンが会いに来る。
夏休みの宿題が、気になり出す頃に、必ずやってくる。

蝉の声がとぎれ始めて、もうすぐ暑かった夏も、終わる。
*お気づきと思いますが、
カナ、ミン、ワシは、ヒグラシ、ミンミンゼミ、クマゼミのことです。
そして、もちろんツックンはツクツクボウシのことです。
お粗末。

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