2000/07/14更新
今日のエッセイ
サイドカー

博多の街には、20年ほど前、アサヒビール(日章旗のマークの)マークを一杯付け た、
真っ黒いサイドカーが走っていた。
知らない人はいないくらいに有名だったが、
アサヒビールの宣伝カーという訳では無かった。
僕の育った校区に、たまたまアサヒビールの工場が有ったから、
見る機会が多かったのかも知れないが、
思い返すと、小学校の頃から見ている記憶がある。
その車がいつまで走っていたのかは定かでないが、
ごく最近まで現役で走っていたという話を聞いた。

黒いサイドカーが走っていた。
そのサイドカーは、うって変わって、何の飾りもなく、ただ黒い、
しかし、何か主張を持った佇まいを持っていた。
どちらのサイドカーも、よくマスコミで取り上げられる、
ハーレーダヴィッドソンではない。
いずれにしても、サイドカーは、その存在が目を引き、
存在そのものがある主張を持っている。
それを所有し、運転する者は、アルファや、MG等の、
古いタイプのオープンカーのオーナーと近い満足感を覚えているのかも知れない。
さもなくば、恒に誰かに横にいて欲しい、寂しがりやなのだろうか。
サイドカーは、ある種のノスタルジーを秘めた存在であり、
また、所有者の価値観も含めて、自己主張を持っている。

ブランデー1/2
ホワイトキュラソー1/4
レモンジュース1/4
シェークして、あらかじめ冷やしておいたグラスに注ぐ

これは、カクテルのサイドカーのレシピである。
実車のサイドカー同様、このカクテルを注文する女性がいたら、
自己主張の強い、 しかし、寂しがりの女性と思ってつきあいたい。

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