2000/06/27更新
今日のエッセイ
紫陽花

僕の住むマンションの、我が家のベランダには、植え込みがある。
2階なので、周囲からの目線を遮る目的と、マンションの景観のためだろう。
その植え込みの中に、何故か紫陽花が一株混じっている。
植え込みは、定期的に剪定されて、背丈が揃っているのだが、
紫陽花だけは剪定されずに伸びている。

何故、紫陽花がそこに植えて有るのか、
何故、紫陽花だけ剪定されずに大きく育てられているのか。

僕たち家族の前の住人は、一人暮らしの女性だった。
まだまだ女盛りだっただろう、そんな年齢で、癌のために急逝した。
その女性が植えていたのだろうか、それとも偶然にそこに育ったのだろうか。

ASUKA(飛鳥涼)の歌に、「はじまりはいつも雨」という曲がある。
彼女にとって、紫陽花は、雨は、始まりのシンボルだったのだろうか。
彼女は、7年前,紫陽花の花が咲く前にこの世を去った。

梅雨に入り、紫陽花は、薄紫のきれいな花を、今年も咲かせた。

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