【こそだて】産科・小児医療の現場から

2008/12/18

まちまちな登園基準

保育園や幼稚園(以下保育園等)に通っている子どもたちにとって感染症にかかることは避けて通れないことです。感染症は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(通称 感染症法)」によって第一類から第五類に分類されています。
日常、保育園等でよく見られるのは第五類感染症です。RSウイルス感症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘(みずぼうそう)、手足口病、伝染性紅斑(りんご病)、突発性発しん、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、ヘルパンギーナ、 百日咳などが含まれます。病気によっては明確な登園基準があるものもあります。例えば、水痘は全ての水疱がかさぶたになるまで、流行性耳下腺炎は耳下腺の腫れがなくなるまではお休みしなければなりません。それに対してはっきりとした登園基準がなく現場が混乱した病気もありました。手足口病、伝染性紅斑(りんご病)がその代表的な例です。いずれも皮膚に発疹が出る病気ですが、発疹が消えるまでお休みを強いられたこともたびたびでした。 
現在ではこのようなことはなくなったと思っていたのですが、ここ数日続けて「えっ!そんなのあり?」ということがありました。一つは「感染性胃腸炎」で下痢が完全に止まるまではお休み、もう一つは「手足口病」で発疹が消えるまでお休みしてください、というものでした。「感染性胃腸炎」の場合、便の状態は病気の回復の度合いを見る上で参考にはなるものの、全身状態が良くても下痢(そもそもこの下痢の定義自体が人によって違うかもしれない)が数週間続くこともあり、そんなに長く休める親はまずいないでしょう。下痢以外にも子どもの全身状態(熱、機嫌、食欲など)を見て登園の判断をするべきです。
「手足口病」は飛沫感染の他に便中に排泄されたウイルスから感染する経口感染の経路もあり、腸管からは4週間近くウイルスが排泄されることもあります。
従って、現在では学校保健法での取り扱いにも書かれているように「感染性胃腸炎」同様、本人の全身状態をみて登園を決定するべきです。
しかしながら、依然としてこのような間違った対応をしている保育園があることを知り驚きを感じました。区立の保育園の場合は基準は統一されていますが、認証保育園や保育ママの場合などは各施設に判断が任されているようです。施設間によって基準にばらつきがあるのは好ましいことではありません。このようなことが続けば子どもも親も不利益を被るし、保育園側にとっても正しい情報を知らないということは不幸なことだと思うので、区の保育課や我々小児科医がその情報を伝えなければと思った次第です。


山口小児科内科 イルカ先生のちょっとひとことより


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