2005/7/14

Q:子どもの嘘

◆投稿者:女性(6歳11カ月/5歳1カ月/1歳4カ月)

次男のことで悩んでいます。嘘を言うのです。今までは、私も見破れるような嘘だったのですが、今日の嘘は、いかにももっともらしい話で信じてしまいました。

「今日は最悪な日だった。お友だちに顔をキックされて、先生に顔を拭いてもらったんだ。僕は泣かなかったよ。その後キックしたお友だちに空手チョップしたら、その子泣いちゃった。」

この話を聞いた主人も「よく泣かなかったな、えらかったぞ」なんて褒めたりして……。先生からなんの連絡もなかったのでおかしいなぁとは思ったのですが、私も「仕返しはよくないよ。泣かせたお友だちに謝らなくっちゃね。」と話しました。

でもやっぱり気になって幼稚園に電話をしたら、担任は全く知らず、他の先生も顔を拭いていないとのこと。そのことを子どもに問いただすと「嘘だった」と。もう怒りまくってしまいました。お友だちの名前まで出して。

何のためにこんな嘘をついたのか、次男の今までの幼稚園の話もみんな嘘だったのではないかと思ってしまうくらいです。こんな子ども、どう思いますか?



A:自分を認めてほしい嘘

◆星 一郎(ほし いちろう) 先生
星先生   心の東京革命推進協議会専門員。
わいわいギルド代表。
日本アドラー心理学会公認心理療法士。
著書は『アドラー博士の子どもを勇気づける20の方法』『アドラー博士のキレる子どもにしない法』『アドラー博士の子どものウソの見分け方』(ごま書房)ほか。
2児の父。

子どもの嘘には3種類あります。ひとつは、結果として嘘になってしまう場合。たとえば、遊びに行って、5時に帰ると約束したのに、6時に帰って来たときには、「約束したのに、なぜ嘘つくの?」と叱るよりも、「チャイムが聞こえたら5時だから帰ってきなさい」と時間に気がつく方法を教えましょう。

2つめの嘘は、本当のことを言うと怒られるから、ついてしまう嘘。この場合は、嘘を上塗りしてしまうことがあるので、「本当のことを言いなさい」と言って、子どもが本当のことを言ったら、約束を守って叱らないこと。理由を聞いて諭しましょう。

3つめの嘘は本当の嘘。人をだましたり、自分を利益に導くためにつく嘘です。これは徹底的に直さなくてはなりませんが、幼児の場合、この嘘をつくことはないでしょう。

子どもは関心をひきたいときに、嘘をつくことがあります。「関心をひきたい=愛情を求めている」と考えがちですが、承認の欲求の嘘もあります。たとえば、ケンカに勝ったという嘘は、「強い自分を認めてほしい」という欲求によるもの。なりたい自分を想像し、それが嘘になったのでしょう。

でも、これは「想像力がある」と褒められることではなく、「嘘はいけない」ことを本人に気づかせなくてはなりません。
嘘に気づかせる時は、「嘘をつくな」と叱るのはNG。でも、嘘を黙認するのでなく、「そういう自分になりたかったんだね」と受けとめ、理想の自分に近づくためにどうしたらいいのか、一緒に考えましょう。

嘘は子どもが成長するチャンスなのです。

先生からの子育てアドバイス

「こそだて」の掲示板に書き込まれた悩みに対して、いろいろな先生がアドバイスしてくださるコーナー。
質問は、掲示板に書き込まれた内容を若干編集の上、ツリーの最初の投稿のみ掲載しています。
先生からは「こんな考え方もあるのでは」という視点でアドバイスしていただいています。
(編集部に直接質問をいただいても、先生から直接ご回答をいただくことはできません。)
(C)YOKO SASAKI

子育てアドバイスTOPページへ

ママ・パパの悩みと家庭のこと(miku)